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氷室
「氷室〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
氷室の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「筧の話」より 著者:梶井基次郎
はこの静けさのなかをことにしばしば歩いた。私が目ざしてゆくのは杉林の間からいつも
氷室《ひむろ》から来るような冷気が径へ通っているところだった。一本の古びた筧《か....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
験を行った。前の二人は種々の温度で脾脱疽菌の対抗力を試験したが、低温度(たとえば
氷室の中)では幾日もの間貯蔵しておいても大してその発芽能力を失うようなことはない....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
んだろう、この面は?」 「ああそれはね、大悪尉」 「おやおややっぱり悪尉か」 「
氷室を舞う時に着ける面」 「姉さん、姉さん、これはナーニ、この厭らしい女の面は?....
「上海された男」より 著者:牧逸馬
から為吉は水管の組合っている釜《ボイラ》の外側へ身を縮めた。火の気のない釜の外は
氷室《ひむろ》のように冷えていた。掘通《トンネル》の扉《ドア》を締めて出て行くボ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
ん云々。さいえば天下の神人はすべて紙は穢れたる事に使うまじきや。また、津島の神主
氷室氏、絵《えが》くに膠《にかわ》の入りたる墨を使わず、筆の毛は忌まざるにや」。....
「超人間X号」より 著者:海野十三
の捜査本部のある竹柴村《たけしばむら》へおりていった。 知らせを聞いて、奥から
氷室検事《ひむろけんじ》がとびだしてきた。この
氷室検事は、X号を捜査《そうさ》す....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
地獄の山の草に生える。で、餓鬼が突刺される。その供養のために、毎年六月の一日は、
氷室の朔日と云って、少い娘が娘同士、自分で小鍋立ての飯ごとをして、客にも呼ばれ、....
「死者の書」より 著者:折口信夫
月に入る日じゃの――。 暦の事を言われて、刀自はぎょっとした。ほんに、今日こそ、
氷室の朔日じゃ。そう思う下から歯の根のあわぬような悪感を覚えた。大昔から、暦は聖....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
ので小屋の中を一とあたり見廻した。 そのとき娘が漸っとかすかな返事をした。 「
氷室《ひむろ》です。」 まだ藁屋根の隙間からはぽたりぽたりと雨垂れが打ち続けて....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
献上、お余《あま》りを町家《ちょうか》に下さる』と見えている。 賜氷の節、また
氷室《ひむろ》の御祝儀ともいって、三月三日の桃の節句、五月五日の菖蒲《しょうぶ》....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
下がっていた一本の銀糸に、びっくりしたらしい蜘蛛が一匹、岩天井へ手繰り上がった。
氷室のような冷気を感じながら天堂とお十夜孫兵衛、洞窟の奥へスルスルと這い進んで行....
「三国志」より 著者:吉川英治
春の遊びなど、世の耳目を羨ますほどのものは聞くが、ここ漢朝の宮廷はさながら百年の
氷室のようだ。楼台は蜘蛛の巣に煤け、珠簾は破れ、欄は朽ち、帝の御衣さえ寒げではな....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
らゆる行事や行幸も見あわせられて、夜の御殿も、昼の御座も、清涼殿いったいは巨大な
氷室と異らなかった。いまも、かすかな蔀明りを横に、帳台の側に、大床子(机)を置か....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
隠れ家を訪い、殿の思いのたけは先様へおつたえおきました。しかし、法師の説法でも、
氷室の女心は解けもせず、ひき退がりました。あとは殿との相対におまかせするしかあり....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
わかる。 今朝の奉行所内は、ただならぬ動揺をもっていた。中に、幾つかの部屋は、
氷室のように、しいんとしている。 小林勘蔵、山本左右太、市川義平太など、それぞ....