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氷枕
「氷枕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
氷枕の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
を損じ、女中に任せきりで置くというわけにいかなかったのである。 可哀相に豹一は
氷枕をあてがわれた。飛びあがるほど冷たかったのと、そんな風に病人扱いにされる恥し....
「足迹」より 著者:徳田秋声
叔母はいい顔をしなかった。 話に疲れると病人は、長い溜息を吐いて、水蒸気の立つ
氷枕に、痺れたような重い頭顱を動かした。 「私も永いあいだ、世帯の苦労ばかりして....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
。どうも気分がよくないから、検温器を入れて見ると、熱が八度ばかりある。そこで枕を
氷枕に換えて、上からもう一つ氷嚢をぶら下げさせた。 すると二時頃になって、藤岡....
「乳色の靄」より 著者:葉山嘉樹
に守られて、陶製のもののように、何も考えることも感じることも出来なくなった頭を、
氷枕と氷嚢との間に挟んでいた。 家族の人たち、当主の妻と、その子供である、二人....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
野原から電話。伯父さん口が利けんようになったから、多賀子をかえしてくれ云々。氷と
氷枕を買って戻れ。 達治さんが丁度いて、私は心配だから一寸様子を見て来て注意す....
「生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
来た後だったので、そしてそういうことはよくあったので、私は別に驚きもしなかった。
氷枕で頭を冷やし、また額も冷してやった。四時すぎに一回便通があったが、大して悪い....
「蘇生」より 著者:豊島与志雄
た。いつのまにか幻が消えてしまった。身体の節々が重く痛み出した。そして頭の下には
氷枕があてがってあることに気付いた。ずきんずきんと頭痛がして、眼に見る物の線がそ....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
は中々戻って来なかった。深い沈黙が落ちてきた。啓介は眼を閉じていた。 看護婦が
氷枕を下げて戻って来ると、「あり難う、」と啓介は云った。 その言葉に河村は顔を....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
度七分あった。かかりつけの医者へ女中が電話をかけに行った。帰りに氷を買ってきた。
氷枕をさしてやった。――隆吉は初め軽い風邪にかかったのだそうである。それが変にこ....
「新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
親切にいたわってくれた。熱の高い時は、夜遅くまで起きていてくれ、夜中にも起上って
氷枕を取り代えてくれた。検温、服薬、食事、すべて一定の時間にしてくれた。食物にも....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
ようにひっそりとなった。――女中が恐る恐るやって行くと、父はもう寝所に寝ていて、
氷枕を用意せよと命じた。 翌日、父は一日寝ていた。頭痛がすると言った。――それ....
「婚期はずれ」より 著者:織田作之助
なく嫁入りした。その日、朝からおたかは頭痛がして起きられなかった。義枝はしきりに
氷枕へ氷をいれたりした。 花嫁を迎える自動車が路地の入口に来て停ると、娘たちは....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
。 「落ちついて頂戴。達ちゃん、鷹なんていやしませんよ」 火のような頭をそッと
氷枕の上におさえつけ、額にも氷嚢をあてがった。 達也は夜中|譫言を云いつづけて....