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「氷柱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

氷柱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
深夜の市長」より 著者:海野十三
刻はもう十二時をかなり廻っている筈だった。通りの家並はすっかり寝静まって、軒から氷柱が下りそうに静かであった。僕はオーヴァのポケットから、「暁」を一本口に銜えて....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
うに収縮したのを感じた。ひょいと眼を高くあげると、両側の建物のおでこのところに、氷柱のようなものが白くつめたく光って見えるのだった。 「氷柱ができるような夜かい....
地球要塞」より 著者:海野十三
と、オルガ姫が知らせた。 望遠鏡の向きをぐっと変えると、なるほど前方に、大きな氷柱《ひょうちゅう》を逆さにして立てたような、怪奇な姿をした三角暗礁が見えてきた....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
およそ十人。皆|崑崙奴の形相。手に手に、すくすくと槍を立つ。穂先白く晃々として、氷柱倒に黒髪を縫う。あるものは燈籠を槍に結ぶ、灯の高きはこれなり。あるものは手に....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
めて、守刀と見参らせたは、あらず、一管の玉の笛を、すっとぬいて、丹花の唇、斜めに氷柱を含んで、涼しく、気高く、歌口を―― 木菟が、ぽう、と鳴く。 社の格子が....
大空魔艦」より 著者:海野十三
だかを語る旗もあがっていず、太い帆げたも、たるんだ帆綱もまるで綿でつつんだように氷柱がついている。 丁坊をつりさげた綱は風にあおられて、いまにもぷつりと切れそ....
」より 著者:海野十三
の甲州雷だった。午後三時半には、比野町は全く一尺先も見えぬ漆黒の雲の中に包まれ、氷柱のように太い雨脚がドドドッと一時に落ちてきた。それをキッカケのように、天地も....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
じゃ……鼠じゃ、畜生めが―― と居士がはじめて言ったのです。ばしゃんばしゃん、氷柱のように水が刎ねる、小児たちは続けさまに石を打った。この騒ぎに、植木屋も三人....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
」傲然としてせせら笑う。 これを聞くより老媼はぞっと心臓まで寒くなりて、全体|氷柱に化したる如く、いと哀れなる声を発して、「命ばかりはお助けあれ。」とがたがた....
南地心中」より 著者:泉鏡花
…湯島の女坂に似た石の段壇を下りて、それから黒焼屋の前を通った時は、軒から真黒な氷柱が下ってるように見えて冷りとしたよ。一時に寒くなって――たださえ沸上り湧立っ....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
に颯と暗くなって、風が身に染むので心着けば、樹蔭なる崖の腹から二頭の竜の、二条の氷柱を吐く末が百筋に乱れて、どッと池へ灌ぐのは、熊野の野社の千歳経る杉の林を頂い....
J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
は殺人事件ではなく、自殺であるのを、他殺の如く見せかけようとした場合。――例えば氷柱を以って急所を刺す。氷柱は溶けて、密閉された部屋の中に兇器とおぼしいものは何....
三枚続」より 著者:泉鏡花
たり閉めて引込ました、何条|堪るべき、雫はその額から、耳から、頤の辺から、まるで氷柱を植えたよう。 かかる中にも自若として冷静の態度を保ち、ことさらには耳を傾....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
下屋の屋根を這って、真中は積って高い、廂の処まで這って出で、上の雪を掻いて、下の氷柱は毒だし、板に附着いたのは汚し、中の八分めぐらいな雪の、六方石のように氷って....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
って、風鐸蕎麦と云うんだそうです。聞いても寒いわね。風鐸どころですか、荷の軒から氷柱が下って。 ――蕎麦を一つ、茶碗酒を二杯……前後に――それまで蟷螂が蟋蟀に....