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「求心的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

求心的の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
特に二元の隔在的《かくざいてき》沈潜のために形成さるる内部空間は、排他的完結性と求心的緊密性とを具現していなければならぬ。「四畳半《よじょうはん》の小座しきの、....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
が自発的に愛した場合なら、私は必ず自分に奪っているのを知っているからだ。 この求心的な容赦なき愛の作用こそは、凡ての生物を互に結び付けさせた因子ではないか。野....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
信用を得たMは、問題の御本尊の弥勒様の首を引抜いて見るといった調子で、グングンと求心的に肉迫して行くと実に意外千万な事実を発見した。すなわち如月寺の縁起文の中で....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
ない。なおの事一心不乱になって考え続けて行く。そうすると全身の神経の作用が次第に求心的に凝り集まって、あるかないかわからない無色透明の結晶体みたようになってしま....
能とは何か」より 著者:夢野久作
化したもので、素直、玲朗をモットーとしている。内面的に云えば在来の能の表現を一層求心的にしたもので、喜多流の能が完成すれば最も単純な、最も透徹した仮面舞台表現が....
自然界の縞模様」より 著者:寺田寅彦
う想像を誘われる。また一方で前記の放射状|対流渦の立派に現われる場合は、いずれも求心的流動の場合であるから、放電陰像の場合もあるいは求心的な物質の流れがあるので....
これから結婚する人の心持」より 著者:宮本百合子
州や支那へまでひろがって考えにのぼって来ること。そういう声々の発せられるところは求心的であるが、心へ及す形は遠心的で何だか落着けない。子供をたくさんと云っても、....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
うな趣が、この歌をして平板から脱却せしめている。無論民謡風ではあるが、未だ語気が求心的である。 ○ 山河の水陰に生ふる山草の止まずも妹がお....
囚われ」より 著者:豊島与志雄
つのものとして彼の眼に映じた。それからまた彼女の肉体を遠心的だと考え、彼女の心を求心的だとも考えた。彼がその時々に触れた富子の姿は、それ全体が一つの統体を為さな....
歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
であって、其が読者の気分による調和を、目的としているのが普通である。短歌の方は、求心的であり、集注式の表現を採って居る。だから作物に出て来る拍子は、しなやかでい....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
が今日取組みつつある、社会・国家ないし共同体の現実的諸問題を捨てて、おのれ自らの求心的領域に帰りうるならば、私は確かに今よりも心の静かさと、潤いと、慈しみとを保....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
心がまえであったものと思われる。つまり、現代人の趣味目的は、放心的に。古人のは、求心的に。――そういう相違ではなかったろうか。とすると、かつての古人たちが、みな....