汗ばむ[語句情報] » 汗ばむ

「汗ばむ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汗ばむの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
に蒸汽の冷えたしたたりが落ちて立てる激しい響きが聞こえて、部屋《へや》の中は軽く汗ばむほど暖まっていた。三日の間狭い部屋の中ばかりにいてすわり疲れ寝疲れのした葉....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
し、蟒どもに振舞ってやったら、嘸よろこんで呑むことでしょうな」帆村は北外の答えを汗ばむような緊張の裡に待った。 「うわッはッはッ」北外は無遠慮に笑い出した。「い....
自叙伝」より 著者:大杉栄
行く街道の中でも一番景色のいいところだった。それに、もう遅すぎるセルでもちょっと汗ばむほどの、気持のいいぽかぽかする暖かさだった。僕等二人は実際、溶けるような気....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
。やっぱり歌声が聞こえて来る。窓から花の香が馨って来る。早春などとは思われない。汗ばむほどに暖かい。どうでも酣《たけなわ》の春のようだ。 「それに致しても」と小....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
田畝の中を、小路へ幾つか畝りつつ上った途中であった。 上等の小春日和で、今日も汗ばむほどだったが、今度は外套を脱いで、杖の尖には引っ掛けなかった。行ると、案山....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
洗い清める幸福はいい加減な恋愛よりは高雅な価値がある。 しかし汗もいわゆる軽く汗ばむという言葉の如く汗ばむ事は、人間の心を妙にときめかす力がある。そして男女の....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
日向の路に、螽斯ほどの小さな旅のものに、ありありと拝まれます。 だから、日向で汗ばむくらいだと言った処で、雑樹一株隔てた中には、草の枯れたのに、日が映すかと見....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
」と少し顔を退けながら、せいせい云う……道を急いだ呼吸づかい、提灯の灯の額際が、汗ばむばかり、てらてらとして赤い。 「誰だ。」 「あの、宮本様とおっしゃいます。....
温浴」より 著者:坂口安吾
も快適な入浴であることを確認したが、冬は湯上りの寒さに抗する必要があるので、多少汗ばむのを我慢して、四十一二度の温泉の湯につかる。伊東市でこれ以上チッポケな湯殿....
貞操問答」より 著者:菊池寛
えて、床の上に四肢をのばした。が、軽井沢の冷々した夜気にひきかえて、夜半過ぎても汗ばむほどの東京の暑さと、昼から引きつづいている胸のもだもだしさのため、容易に寝....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
、大切そうに置いてあった。 窓から夏の陽が射していて、喚気法の悪い部屋の中は、汗ばむ程に熱かった。 「……と、つまり、云うわけさ。ナーニ、ちょろりと横取りした....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
(しかもこのように俺を愛して!) カッと胸の奥の燃えるのを感じ、全身がにわかに汗ばむのを覚えた。 (いっそあやめと一緒になろうか) 悲しみを含んだ甘い感情が....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
摩居士の皮膚の跡を探すとするかな」 所が、その捜査は空しく終ってしまい、真夏の汗ばむ陽盛りに、鏡板の上に付いていなければならぬ筈の、何物をも発見されなかった。....
」より 著者:岡本綺堂
かばだから、今日の五月中旬で陽気はそろそろ暑くなる。あいにく天気つづきで、日中は汗ばむような陽気だから堪らない。鯨は死ぬと直ぐに腐り出すということを由兵衛らは知....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
十|面をてらてら磨いて、薄い毛を白髪染さ、油と香水で真中からきちんと分けて、――汗ばむから帽子を被りません――化粧でもしたらしい、白赤く脂ぎった大面の頤を突出し....