汗臭い[語句情報] » 汗臭い

「汗臭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汗臭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女体」より 著者:芥川竜之介
、はっと眼がさめたような気に帰ったと思うと、いつか楊の魂はあの虱の体へはいって、汗臭い寝床の上を、蠕々然《ぜんぜんぜん》として歩いている。楊は余りに事が意外なの....
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
だ、御用心御用心」と、首を縮めて腰の辺《あたり》を撫でている。 (一二)汗臭い握飯《にぎりめし》 その話は面白いが、しかし吾輩は山登りの汗が引込むに随....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
い事もないが、何しろこの毛衣の上から湯を使った日には乾かすのが容易な事でないから汗臭いのを我慢してこの年になるまで洗湯の暖簾《のれん》を潜《くぐ》った事はない。....
旧主人」より 著者:島崎藤村
に転んでいると、急に白雨《ゆうだち》が落ちて来た、二人とも起上る力がないのです。汗臭い身体を雨に打たれながら倒れたままで寝ていたことも有ました。その時に後で烈《....
苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
て………。黄色く貧弱な肌が、女のにくらべてひどく羞しい気がした。女は笑って、俺の汗臭い靴下を窓に捨てた。窓には、芽をふいた青い平原が白い雲を浮游させて、無限の圧....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
馬鹿にした小鳥が白い糞をしかける。いたずらな蜘めが糸で頸をしめる。時々は家の主が汗臭い帽子を裏返しにかぶせて日に曝らす。地蔵様は忍辱の笑貌を少しも崩さず、堅固に....
田園雑感」より 著者:寺田寅彦
危篤な病人の枕もとへはおおぜいの見舞い人が詰めかける。病人の頭の上へ逆さまに汗臭い油ぎった顔をさし出して、むつかしい挨拶をしむつかしい質問をしかける。いっそ....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
此の頃お湯にも入らず、蚊帳を吊りきりでお経を読んでばかりいらっしゃるものだから、汗臭いから行水をお遣いなさいと云って勧めて使わせて、私が萩原様の身体を洗っている....
あそび」より 著者:森鴎外
って、ゆっくり書類を戸棚にしまって、食堂へ行って、ゆっくり弁当を食って、それから汗臭い満員の電車に乗った。 (明治四十三年八月)....
シベリヤに近く」より 著者:里村欣三
彼は当惑そうに顔をあげて隊長を見た。 「こう毎日毎日、単調な原ッぱを、女気なしに汗臭い輜重車を引きずり廻して暮すんじゃ、面白うないわい」 そして隊長は、ぺっと....
」より 著者:森鴎外
竪縞の単物を着ているが、膝の処には二所ばかりつぎが当っている。それで給仕をする。汗臭い。 「着物はそれしか無いのか。」 「ありまっせん。」 平気で微笑を帯びて....
南国太平記」より 著者:直木三十五
、自分で着更えて、今まで肌についていたのを携えながら、襖を開けて 「村野――少々汗臭いぞ」 と、三人の前へ抛げ出した。村野は、押頂いた。斉彬は、戻って、すぐ机....
映画雑感(Ⅶ)」より 著者:寺田寅彦
たとき、私のすぐ右側の席にいた四十男がずっと居眠りをつづけて、なんべんとなくその汗臭い頭を私の右肩にぶっつけようぶっつけようとしていた。全くこうした映画に全然興....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、弱々しゅう襟を左右に開いたのを、どうなさいます? とお縫が尋ねると、勿体ないが汗臭いから焚き占めましょう、と病苦の中に謂ったという、香の名残を留めたのが、すな....
かもめ」より 著者:神西清
と沁込んだ心の穢れ! トレープレフ (『ハムレット』のセリフで)いや、膏ぎった汗臭い臥床に寝びたり、豕同然の彼奴と睦言…… 仮舞台のかげで角笛の音。 トレープ....