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「汚い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汚いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
馬車を従えたまま、日の光も落ちない師走《しわす》の町を或火葬場へ走って行った。薄汚い後の馬車に乗っているのは重吉や彼の従弟《いとこ》だった。彼の従弟の大学生は馬....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
同時に又|蒼《あお》い湘江《しょうこう》の水もじりじり幅を縮めて行った。すると薄汚い支那人が一人、提籃《ていらん》か何かをぶら下げたなり、突然僕の目の下からひら....
将軍」より 著者:芥川竜之介
場には、もう一時の定刻|前《ぜん》に、大勢《おおぜい》の兵卒が集っていた。この薄汚いカアキイ服に、銃剣を下げた兵卒の群《むれ》は、ほとんど看客《かんかく》と呼ぶ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
(一) 長い影を地にひいて、痩馬《やせうま》の手綱《たづな》を取りながら、彼《か》れは黙りこくって歩いた。大きな汚い風呂敷包と一緒に、章魚《たこ》のように頭ばかり大きい赤坊《あかんぼう》をおぶ....
追憶」より 著者:芥川竜之介
ッショは社会主義にヒマシユを飲ませ、腹下しを起こさせるという話を聞き、たちまち薄汚いベンチの上に立った僕自身の姿を思い出したりした。のみならずファッショの刑罰も....
海異記」より 著者:泉鏡花
近寄って、僧の前へ、片手、縁の外へ差出すと、先刻口を指したまま、鱗でもありそうな汚い胸のあたりへ、ふらりと釣っていた手が動いて、ハタと横を払うと、発奮か、冴か、....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
かとばかりに苦しい。喘いでも喘いでも、鼻に這入って来るのは窒素ばかりかと思われる汚い空気である。私は其の午後もそんな境涯に居た。然し私は其の日に限って其の境涯を....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
女房が一人居た。 「さあ、どうぞ、旦那様、奥様、これへお掛け遊ばして、いえ、もう汚いのでございますが、お立ちなすっていらっしゃいますより、ちっとは増でございます....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
た。 「相談は整いました。」 「それは難有い。」 「きあ、二階へどうぞ……何しろ汚いんでございますよ。」 と、雨もりのような形が動くと、紺の上被を着た婦になっ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
… 「頼む。」 があいにく玄関も何もない。扇を腰に、がたがたと格子を開けると、汚い二階家の、上も下も、がらんとして、ジイと、ただ、招魂社辺の蝉の声が遠く沁込む....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
な、取附の三段の古棚の背のね、物置みたいな暗い中から、――藻屑を曳いたかと思う、汚い服装の、小さな婆さんがね、よぼよぼと出て来たんです。 髪の毛が真白でね、か....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ろ、と笑うやら、痛え、といって身悶えするやら、一斉に皆うようよ。有触れた銀流し、汚い親仁なら何事もあるまい、いずれ器量が操る木偶であろう。 「姉や。」 この時....
歯車」より 著者:芥川竜之介
ル・クロオスは白地に細い青の線を荒い格子に引いたものだった。しかしもう隅々には薄汚いカンヴァスを露していた。僕は膠臭いココアを飲みながら、人げのないカッフェの中....
三枚続」より 著者:泉鏡花
出て、柳屋の店頭に突立った、蚰蜒眉の、猿眼の、豹の額の、熟柿の呼吸の、蛇の舌の、汚い若衆を誰とかする、紋床の奴愛吉だ。 「待ちゃあがれ此奴等、私が出入先をどうす....
まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
めるという時に、黒マントを被った、柔道部、相撲部の連中が殴り込んで来た。中には、汚い話だが、糞尿を投げるやつがある、あっちでも、こっちでも大乱闘が始まる。戸叶武....