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江戸紫
「江戸紫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
江戸紫の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
媚態でありながらなお異性に対して一種の反抗を示す強味をもった意識である。「鉢巻の
江戸紫」に「粋《いき》なゆかり」を象徴する助六《すけろく》は「若い者、間近く寄つ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
んですが、八本ともとられたしごきてえいうのが、そろいもそろって、目のさめるような
江戸紫のね――」 「なにッ」 がぜん、きらりとばかり目を光らすと、むっくり起き....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
まうしろになっている柱の下のほうに、しっかり結わいつけてあるその名もなまめかしい
江戸紫のしごきです。 「はあてね。七つ屋へこかしこんでも一両がところは物をいいそ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
いもと仮名書の包みを開けて、元気よく発奮んだ調子で、 「おお、半襟を……姉さん、
江戸紫の。」 「主税さんが好な色よ。」 と喜ばれたのを嬉しげに、はじめて膝を横....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
った。 「これはよい黒だ。」と正香が言う。 「京の水でなければこの色は出ません。
江戸紫と申して、江戸の水は紫に合いますし、京の水はまた紅によく合います。京紅と申....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
唄う。) 都路は五十路あまりの三つの宿、…… 公子 おお、それだ、字書のように、
江戸紫で、都路と標目が出た。(展く)あとを。 侍女五 ……時得て咲くや江戸の花、....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
あの、御支度はいかがでございます。」 夫人この時は、後毛のはらはらとかかった、
江戸紫の襟に映る、雪のような項を此方に、背向に火桶に凭掛っていたが、軽く振向き、....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
むらさきといやしなかったかい」
「そうとも。江戸むらさきと注文したんだが、これが
江戸紫なもんか」
「はばかりさま。立派な江戸むらさきですよ」
「ちょっ! 色の見....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
乱のほどが思い遣られる。 また一面から見れば、門附が談話の中に、神田辺の店で、
江戸紫の夜あけがた、小僧が門を掃いている、納豆の声がした……のは、その人が生涯の....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
を混ぜることだ。そのとき各々の人たちの芸はそれぞれ皆はじめて画竜点睛、ポッカリと
江戸紫の花咲きそめることだろう。 とするとどうだ、この私は。 青――あまりに....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
を張って「鴨川の水でもいけぬ色があり」と当時江戸っ児が鼻を高くしていた式部好みの
江戸紫、この紫染めを一枚看板にする紺屋を一般にむらさき屋と呼んで、石《こく》町、....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
し人、 妾宅と覚しきに、世にも 婀娜なる娘の、糸竹の 浮きたるふしなく、情も恋も
江戸紫や、色香いろはの 手習して、小机に打凭れ、 紅筆を含める状を、垣間 見てこ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
げに投げ捨てた。 見るとそれは、ところどころ火に焦がされた女の被布、浮織唐草の
江戸紫は、まぎれもなく、お綱の着ていたものである。 火焔の中から、無我夢中で躍....
「べんがら炬燵」より 著者:吉川英治
と、袂の先や、裾がうごいた。そして、遠方からでもすぐ眼の中へとびこんで来るような
江戸紫の布を、たらりと頭巾にしていた。 どこか淋しい影のある顔だちだった。若く....