江戸絵[語句情報] » 江戸絵

「江戸絵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

江戸絵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
多いのに驚かされた。 日が落ちると急に冷えて来て、春のまだ浅い夕暮れの寒さは、江戸絵を貼った壁の破れから水のように流れ込んで来た。十吉は炉の火をかきおこして夕....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
空惚《そらとぼ》けて、漸《やっ》と気が付いた顔色《がんしょく》で、 「はあ、あの江戸絵《えどえ》かね、十六、七年、やがて二昔《ふたむかし》、久しいもんでさ、あっ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
あるのです。しかも、それが不思議なものの前に、なぞのごとく置かれてあるのでした。江戸絵なのです。それもただの江戸絵ではない。若衆歌舞伎十二枚のうち、江戸屋江戸五....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
代にはまだちゃんと残っていました。御覧なさい。これですよ」 半七老人は万延版の江戸絵図をひろげて見せてくれた。市ヶ谷の月桂寺の西、尾州家の中屋敷の下におびとり....
思い出の記」より 著者:小泉節子
たいと云うのが、私の兼ての望みでした。ヘルンは『あなたは今の東京を、廣重の描いた江戸絵のようなところだと誤解して居る』と申していました。私に東京見物をさせるのが....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、借もなし、見得外聞があるじゃなし……心配も苦労も無い。叔母さんに貰った仲の町の江戸絵を、葛籠から出して頬杖を支いて見るようなもんだと思って。」 ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
からたくさんあったに相違ありません。うす暗い座敷で行燈の火が山風にゆれています。江戸絵を貼った屏風をうしろにして、若い旅人が白い腕をまくっていると、若い遊女が紅....
青衣童女像」より 著者:寺田寅彦
の歌がカンテラのすすとともに乱れ合っていたころの話である。そうして東京みやげの「江戸絵」を染めたアニリン色素のなまなましい彩色がまだ柔らかい網膜を残忍にただらせ....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
なものだ。また並び床といって、三十軒も床屋があって、鬢盥を控えてやっているのは、江戸絵にある通りです。この辺の、のでん賭博というのは、数人寄って賽を転がしている....
妖婆」より 著者:岡本綺堂
のは、その場所が鬼婆横町であるということであった。横町は新五番町の一部で、普通の江戸絵図には現われていないほどの狭い路で、俗にいう三町目谷の坂下から東へ入るので....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
と言うべきだ。造化のいたずらとも言うべきものだ。私はある日美しい浮世絵(私たちは江戸絵と言った)の美人の張ってある屏風に向けて熱心に可笑しな真似をしていた。吹き....
桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
もわしめる。 之等の句中には、いま昔を超越した、女らしさがあって、初版の上品な江戸絵を見る如きなつかしさ、美しさ古めかしさを覚えるのである。 花冷や夕影の中渡....
あのころ」より 著者:上村松園
内に吉野屋勘兵衛――通称よしかんという絵草紙屋がありましたので、私は母にねだって江戸絵や押絵に使う白描を買ってもらい、江戸絵を真似てかいたり、白描に色をつけては....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
と、母から半紙をもらい、帳場に坐って、いつも絵を描いていました。母が買ってくれた江戸絵の美しい木版画を丹念に写したりしたものです。賑やかな四条通りの店ですから、....
日和下駄」より 著者:永井荷風
自由を失い見る人をして唯《ただ》煩雑の思をなさしめるばかりである。見よ不正確なる江戸絵図は上野の如く桜咲く処には自由に桜の花を描き柳原《やなぎわら》の如く柳ある....