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「池畔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

池畔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
逆行」より 著者:太宰治
であるが、見たところ千坪ほどのひろさなのだ。すぐれた造園術のしかけである。われは池畔の熊笹のうえに腰をおろし、背を樫《かし》の古木の根株にもたせ、両脚をながなが....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
だった。すると、沼の水面で大きな魚が跳ねたとみえ、ポチャリと音がすると、そのとき池畔の叢《くさむら》の中から、それは異様なものが現われて出て来た。そこは、鋸《の....
雛妓」より 著者:岡本かの子
ちより先へ帰った。夏のことなので、障子を開けひろげた窓により、わたくしは中之島が池畔へ続いている参詣道に気をつけていた。松影を透して、女中の箱屋を連れた雛妓は木....
単独行」より 著者:加藤文太郎
に大きな滝なり。風雨強く雷鳴を聞きながら登る、大雪渓を突破し頂上近き偃松帯に入り池畔を通りて乗鞍八合目(六時頃着)にいたれば、観測所小屋の壊れたるあり。この他泊....
花吹雪」より 著者:太宰治
である。之と争って、時われに利あらず、旗を巻いて家を飛び出し、近くの井の頭公園の池畔をひとり逍遥している時の気持の暗さは類が無い。全世界の苦悩をひとりで背負って....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
れに試みたくないと思う。 更に今一つの伝説を語らば、二昔以前に掘り出された洗手池畔の六地蔵である。伝え聞くに小野小町が工人に命じて作らしめたところ、六角の灯籠....
獄中生活」より 著者:堺利彦
六日午前九時より堺生の出獄歓迎を兼ねて園遊会が開かれた。……場所は、角筈十二社の池畔桜林亭である。……幸いに曇天で、……来会者は男女合せて百五十余名の多きに達し....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
あるし、母の手前をも憚《はばか》っていると、美人の姿は飄々《ひょうひょう》として池畔《ちはん》をあちらへ遠ざかり行きながら、その面影と、声とははっきりして、 「....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
った。奈良では猿沢池の傍に止宿して、翌日、春日の社や大仏その他を見物した。猿沢の池畔の、采女の社が池の方を向いて背面に鳥居の建っているのもちょっと珍らしかった。....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
赤と赤、火と火!」と小声で、夢見るような呟きをした。 薬師堂の調査を終ってから池畔に出ると、法水が何時の間にか喬村の許へ使を出したと見えて、一人の刑事が一通の....
高原」より 著者:寺田寅彦
ラットフォームの謙虚で安易な気持がひどく嬉しかったことを思い出した。 H温泉|池畔の例年の家に落着いた。去年この家にいた家鴨十数羽が今年はたった雄一羽と雌三羽....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
と松平備後守の、宏大な屋敷の前へ出る、そこをまた右へ曲がるかもしれない。と不忍の池畔へ出る。それから先は町家町で露路や小路が入り組んでいる、自由にまぎれて隠れる....
おせん」より 著者:邦枝完二
、勿体ねえなァ」 駕籠はいま、秋元但馬守の練塀に沿って、蓮の花が妍を競った不忍池畔へと差掛っていた。 三 東叡山寛永寺の山裾に、周囲一|里の池を見る....
雨の上高地」より 著者:寺田寅彦
るという気がした。 音に聞く大正池の眺めは思いのほかに殺風景に思われた。しかし池畔からホテルへのドライヴウェーは、亭々たる喬木の林を切開いて近頃出来上がったば....
上野」より 著者:永井荷風
の跋を見れば明治十九年二月としてある。 香亭雅談には又江戸時代の文人にして不忍池畔に居を卜したものの名を挙げて下の如くに言っている。「古ヨリ都下ノ勝地ヲ言フ者....