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汪然
「汪然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
汪然の前後の文節・文章を表示しています。該当する5件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
。しかし、――しかしその乳房《ちぶさ》の下から、――張り切った母の乳房の下から、
汪然《おうぜん》と湧いて来る得意の情は、どうする事も出来なかったのである。
....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
ながめていると、病弱な樗牛の心の中には、永遠なるものに対する※※《しょうけい》が
汪然《おうぜん》としてわいてくる。日も動かない。砂も動かない。海は――目の前に開....
「島原心中」より 著者:菊池寛
楼主に奪われなければならぬかと思うと、彼女の薄命に対する同情の涙が、僕の目の中に
汪然と湧いて来るのを、どうすることもできなかったのです。 お主婦は、やがて指輪....
「蒲団」より 著者:田山花袋
この自然の底に蟠れる抵抗すべからざる力に触れては、人間ほど儚い情ないものはない。
汪然として涙は時雄の鬚面を伝った。 ふとある事が胸に上った。時雄は立上って歩き....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
、あなた、父じゃございませんか」 老婦人がわれにもあらず顔打ちおおいぬ。浪子は
汪然として泣けり。次の間にも飲泣の声聞こゆ。 目をぬぐいて、老婦人は語り続けぬ....