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「決然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

決然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外科室」より 著者:泉鏡花
かされぬことなんか。え、奥」 「はい。だれにも聞かすことはなりません」 夫人は決然たるものありき。 「何も痲酔剤《ますいざい》を嗅《か》いだからって、譫言を謂....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
植えられた。その翌《あ》くる日に僕は十分母の精神の休まる様に自分の心持を話して、決然学校へ出た。 * * * 民子は余儀なき....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
みち》を行くに、身体《からだ》はきっとして立ちて左右に寸毫《すんごう》も傾かず、決然自若たる態度には一種犯すべからざる威厳を備えつ。 制帽の庇《ひさし》の下に....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
しばらく釘づけにされたように立ちすくんでいた君は、やがて自分自身をもぎ取るように決然と肩をそびやかして歩きだす。 君は自分でもどこをどう歩いたかしらない。やが....
天守物語」より 著者:泉鏡花
影を視て、やや驚く。ついで几帳を認む。彼が入るべき方に几帳を立つ。図書は躊躇の後決然として進む。瞳を定めて、夫人の姿を認む。剣夾に手を掛け、気構えたるが、じりじ....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
よし、これからはもう疑いをはさまないぞ」と決心した。 その手始めに、山岸中尉は決然として、こういった。 「帆村さん。私は司令に願って、明日、竜造寺兵曹長を救い....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
号自身、駆逐機隊から爆弾を落されることは明らかではないか。 しかも水原艦長は、決然として発火信号の用意を命じたのである。 やがて奥の方から、信号兵の声で、 ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
た。その手で、挫ぐばかり確と膝頭を掴んで、呼吸が切れそうな咳を続けざまにしたが、決然としてすっくと立った。 「ちょっと御挨拶を申上げます、……同室の御婦人、紳士....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
しく、列車の内へすっくと立って、日に焼けた面は瓦の黄昏るるごとく色を変えながら、決然たる態度で、同室の御婦人、紳士の方々、と室内に向って、掠声して言った。……こ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ったい、うむ、早く出よう。そして、おいらもう、この穴へは入るまい。」 滝太郎は決然として答えた。お兼は嬉しげに手を取って、 「滝さん、それでこそお前さんだ、あ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
厭で来ませんでしたよ。 さあ、いらっしゃい。」 「……参ります!」 とだけは決然として気競って云ったが、膝が萎えて、がくついて、ついした事には行かないで、 ....
母への追慕」より 著者:上村松園
だが、勝気な母は、 「私が働けば、親娘三人どうにかやってゆけます」 そう言って決然として身を粉にして、私たちのために働いてくれたのである。 そう言って意地を....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
」 お米さんが、あの虎杖の里の、この吹雪に…… 「……ただ一人。」―― 私は決然として、身ごしらえをしたのであります。 「電報を――」 と言って、旅宿を出....
山吹」より 著者:泉鏡花
。……この上は死ぬほかには、行き処のない身体を、その行きどころを見着けました。(決然として向直る)このおじさんと一所に行きます。――この人は、婦人を虐げた罪を知....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
に思っていたから、両親初め周囲のものは皆二葉亭の仕官を希望していた。が、二葉亭は決然袂を揮って退学した余勇がなお勃々としていた処へ、春廼舎からは盛んに文学を煽り....