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汽
「汽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
汽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
緑を煙らせている。保吉はこの断崖の下をぼんやり一人《ひとり》歩いて行った。三十分
汽車に揺《ゆ》られた後《のち》、さらにまた三十分足らず砂埃《すなほこ》りの道を歩....
「影」より 著者:芥川竜之介
私は今夜東京へ行くからね、――ああ、向うへ泊って来る。――帰れないか?――とても
汽車に間《ま》に合うまい。――じゃ頼むよ。――何? 医者に来て貰った?――それは....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
。雲母《きらら》のような波を刻んでいる東京湾、いろいろな旗を翻《ひるがえ》した蒸
汽船、往来を歩いて行く西洋の男女の姿、それから洋館の空に枝をのばしている、広重《....
「河童」より 著者:芥川竜之介
には故郷のように感ぜられましたから。
僕はそっと家《うち》を脱け出し、中央線の
汽車へ乗ろうとしました。そこをあいにく巡査につかまり、とうとう病院へ入れられたの....
「彼」より 著者:芥川竜之介
間借《まが》りをしていた。階下の輪転機《りんてんき》のまわり出す度にちょうど小蒸
汽《こじょうき》の船室のようにがたがた身震《みぶる》いをする二階である。まだ一高....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
。」
お蓮《れん》は膝の小犬を撫《な》でながら、仕方なさそうな微笑を洩らした。
汽船や
汽車の旅を続けるのに、犬を連れて行く事が面倒なのは、彼女にもよくわかってい....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
れが日本領事館だ。………このオペラ・グラスを使い給え。………その右にあるのは日清
汽船会社。」
僕は葉巻を銜《くわ》えたまま、舟ばたの外へ片手を下ろし、時々僕の....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
ものも都会に住んでいる悲しさには悪臭と呼ばれる匂《におい》ばかりである。たとえば
汽車の煤煙の匂は何人《なんびと》も嗅《か》ぎたいと思うはずはない。けれどもあるお....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
銀灰色の靄《もや》と青い油のような川の水と、吐息《といき》のような、おぼつかない
汽笛の音と、石炭船の鳶色《とびいろ》の三角帆と、――すべてやみがたい哀愁をよび起....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
である。時々小さい火の光りが流れるように通りすぎるが、それも遠くの家の明りだか、
汽車の煙突から出る火花だか判然しない。その中でただ、窓をたたく、凍りかかった雨の....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
みになっているんですからね。」
「僕の方じゃいけないですか? 毎日学校へ通うのに
汽車へ乗るのさえかまわなければ。」
「あなたの方じゃ少し遠すぎるんです。あの辺は....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
門前へ、泣く泣くその赤子を捨てて行きました。
「それからわずかの知るべを便りに、
汽車にも乗らず横浜へ行くと、夫はある運送屋へ奉公をし、女はある糸屋の下女になって....
「少年」より 著者:芥川竜之介
や》いた帆かけ船を何艘《なんそう》も浮かべている。長い煙を空へ引いた二本マストの
汽船も浮かべている。翼の長い一群《いちぐん》の鴎《かもめ》はちょうど猫のように啼....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
――
「美華禁酒《びかきんしゅ》会長ヘンリイ・バレット氏は京漢《けいかん》鉄道の
汽車中に頓死《とんし》したり。同氏は薬罎《くすりびん》を手に死しいたるより、自殺....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
のはだんだん小さくなっていって、遂にはまったく見えなくなってしまう。急速力で走る
汽車でヨーロッパを横切り、その昇降口から眺めてみよ。ひと、ひと、ひと、どこまで行....