沁み透る[語句情報] » 沁み透る

「沁み透る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

沁み透るの前後の文節・文章を表示しています。該当する5件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
、悲しい頼りない身をそれほどに優しくいたわってくれたという、その親切が胸の奥まで沁み透るほどに嬉しかったのである。彼女は男の顔をぬすむように折りおりに窺《うかが....
マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」より 著者:宮本百合子
誡めであった。祖母の言葉はいつもその誠実さと、人生に対する智慧でゴーリキイの心に沁み透るのであった。このような命にみちた言葉がゴーリキイの荒い少年・青年時代を通....
リギ山上の一夜」より 著者:斎藤茂吉
が出来た。 電燈を消してから暫くになるが、妙に僕の目が冴えている。夜は静かで、沁み透るようである。虫の音なんかも聞こえず、雁のこえなんかもしない。妻はいつの間....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
はない。 この歌を味うと、内容に質実的なところがあるが、声調が訥々としていて、沁み透るものが尠いので、つまりは常識の発達したぐらいな感情として伝わって来る。併....
木曽御嶽の両面」より 著者:吉江喬松
ちて、枝がぬれ、幹がぬれ、草がぬれ、自分らの纏っている糸径がぬれ、果ては衣服にも沁み透る。仰いでも望んでも霧と雨、果ても知れず深い千古の谿にふり灑ぐ雨の音、黙々....