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沈み
「沈み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沈みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
の空へ無数の鴉《からす》をばら撒《ま》いている。――私はいつかうとうとと浅い眠に
沈みながら、それでもまだ腹の底には水のような春寒《はるさむ》が漂っているのを意識....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
事でございます。ずっとしけばかり続いたために、持ち船の北条丸《ほうじょうまる》は
沈みますし、抛《な》げ銀は皆倒れますし、――それやこれやの重なった揚句《あげく》....
「河童」より 著者:芥川竜之介
トックと肘《ひじ》を組んだまま、超人倶楽部から帰ってきました。トックはいつになく
沈みこんでひとことも口をきかずにいました。そのうちに僕らは火《ほ》かげのさした、....
「彼」より 著者:芥川竜之介
ったの?」
「どうもあれは旺盛《おうせい》すぎてね。」
僕はもう一度一生懸命に
沈み勝ちな話を引き戻した。
「この間《あいだ》Kが見舞いに来たってね。」
「ああ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
し》を渡る時でも、結局彼等の敵打《かたきうち》は徒労に終ってしまいそうな寂しさに
沈み勝ちであった。
その内に筑波颪《つくばおろ》しがだんだん寒さを加え出すと、....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
人もコペルニクスの地動説に立脚した日月山川を歌わなければならぬ。が、「太陽は西に
沈み」と言う代りに「地球は何度何分|廻転《かいてん》し」と言うのは必しも常に優美....
「或る女」より 著者:有島武郎
気がきかないっちゃないと思うと、近ごろになく起きぬけからさえざえしていた気分が、
沈みかけた秋の日のように陰ったりめいったりし出して、冷たい血がポンプにでもかけら....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
たまま突立っていた。昆布岳《こんぶだけ》の斜面に小さく集った雲の塊を眼がけて日は
沈みかかっていた。草原の上には一本の樹木も生えていなかった。心細いほど真直《まっ....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
沈む……苦しい」
と呼びかけるのです。実際妹は鼻の所位《ところぐらい》まで水に
沈みながら声を出そうとするのですから、その度ごとに水を呑《の》むと見えて真蒼《ま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。私の前にすわった君の姿は私にそれを信ぜしめる。 パンのために生活のどん底まで
沈み切った十年の月日――それは短いものではない。たいていの人はおそらくその年月の....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
ている。ただあなたにはそんな事も、わかっていなそうな気がしたから。 王 (考えに
沈みながら)わたしには三つの宝があれば、王女も貰えると思っていた。が、それは間違....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
は重量なき火の素質にてありき、 下には深くやがてまた重く空気を伴いぬ。 更に深く
沈みて粗なる質量より作られて 地はありぬ、その周囲には水を巡らしぬ。 かく神が物....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
り込ませられたのであった。上げて来る潮で波が大まかにうねりを打って、船渠の後方に
沈みかけた夕陽が、殆ど水平に横顔に照りつける。地平線に近く夕立雲が渦を巻き返して....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
分がすっかり異います。一|方は自分達の仲間から親しい人を失うのでございますから、
沈み切って居りますのに、他方は自分達の仲間に親しき人を一人迎えるのでございますか....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ー 一八六七年八月二十五日死す 日輪が静に地平線より落ち行きて、始めて人の心に
沈み行く日の光の名残が惜しまれる。せめて後の世に何なりと記念の物を残そうというこ....