沈潜[語句情報] »
沈潜
「沈潜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沈潜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
元を排除する二元である。そうして、二元のために、特に二元の隔在的《かくざいてき》
沈潜のために形成さるる内部空間は、排他的完結性と求心的緊密性とを具現していなけれ....
「世相」より 著者:織田作之助
が、私の文章の生き生きする瞬間であり、体系や思想を持たぬ自分の感受性を、唯一所に
沈潜することによって傷つくことから守ろうとする走馬燈のような時の場所のめまぐるし....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ばずに失せた。 若者であって一度この威猛高な誇張の態度に身を任せたものは二度と
沈潜して肌質をこまかくするのは余程難しかった。鼈四郎はこの目的外れの評判が自分の....
「小唄のレコード」より 著者:九鬼周造
うな迫力を感じることが多い。肉声で聴く場合には色々の煩わしさが伴ってかえって心の
沈潜が妨げられることがあるが、レコードは旋律だけの純粋な領域をつくってくれるので....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
、氏は信仰を得て「永遠の生命」に対する希望を持つ様になりました。氏の表面は一層|
沈潜しましたが、底に光明を宿して居る為か、氏の顔には年と共に温和な、平静な相が拡....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
う。この歌は集中佳作の一つであるが、興に乗じて一気に表出したという種類のもので、
沈潜重厚の作というわけには行かない。同じく句の繰返しがあっても前出天智天皇の、「....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
離」というものを味わった人々であることが多い。深い傷ましい「わかれ」は人間の心を
沈潜させ敬虔にさせ、しみじみとさせずにはおかない。私は必ずしも感傷的にとはいわな....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
、はては四次元が三次元に、また二次元にと、ついには外界のすべてが、自分自身の中へ
沈潜してゆくのではないかと、顫かれたのである。 しかし、それは明らかに、狂気の....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
なると動物の場合に較べてすべてがうらうえになる。鶴見はそれゆえに今度は植物の事に
沈潜して肩を軽くし骨を休めたいと切に望んでいる。 実は輪廻思想を追い廻して考え....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
で、不幸に悩み、失意にうちのめされることはあるかもしれませんが、自分の心のなかに
沈潜すると、まわりに円光を背負った天の精霊のようになり、その環のなかへは悲しみも....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
を流れて行く、一筋の谷川があったとしたならば、岩に激して響きを上げ、淵にたたえて
沈潜し、滝と落下して音を立て、他の細流を収容しては、睦まじそうなささやきを交わし....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
、人間というものを包んでいた「伝統」的必然のヴェールをひきさくことによって、無に
沈潜し、人間を醜怪と見、必然に代えるに偶然を以てし、ここに自由の極限を見るのであ....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
を発露するという西洋風な表現のしかたも、芸術の一面ではあろうと思いますが、能楽の
沈潜した感激は哲学的だと言いましょうか、そこに何物も達しがたい高い芸術的な匂いが....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
があったから、それだけ従来の国文型が抜け切れない処があった。二葉亭も院本や小説に
沈潜して好んで馬琴や近松の真似をしたが、根が漢学育ちで国文よりはむしろ漢文を喜び....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
な沈黙にたえかねて思わずはしゃぎ出すより外にしかたが無かったのだ。それとも一座の
沈潜した空気を緩和するための道化振りだったのか。とにかくぼくは口をひらけば、洒落....