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沈痛
「沈痛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沈痛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
とよりひっそりしている。身動きさえ滅多《めった》にするものはない。校長はいよいよ
沈痛に「君、資性《しせい》穎悟《えいご》兄弟《けいてい》に友《ゆう》に」と読みつ....
「外科室」より 著者:泉鏡花
数台《すだい》の馬車に思い合わせて、ひそかに心に頷《うなず》けり。渠らのある者は
沈痛に、ある者は憂慮《きづか》わしげに、はたある者はあわただしげに、いずれも顔色....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
である。幾千年の昔からこの春の音で打ちなだめられてきた上総下総の人には、ほとんど
沈痛な性質を欠いている。秋の声を知らない人に
沈痛な趣味のありようがない。秋の声は....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
に、一大汚点を印するところでありました」 「それは、よかった――」 司令官は、
沈痛な面持をして、遥かな地点に、陳謝と祈りを、捧げるもののようであった。そういえ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
を相談した。 「これは厄介なことになりましたのネ」 と女史は現場を検分しながら
沈痛な面持をして云った。 「奥さんは、真一さんの死因が何であるとお思いなんでござ....
「海底大陸」より 著者:海野十三
メリー号の行方は今夕とおなじようにサッパリわからないのだ」 そういって艦長は、
沈痛な顔をして言葉をむすんだ。 スミス警部も、それを大きなためいきとともに聞い....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
個の希望――文学に対する註文を有体に云うと、今日の享楽主義又は耽美主義の底には、
沈痛なる人生の叫びを蔵しているのを認めないではないが、何処かに浮気な態度があって....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
が大きな声をあげたもんだから、いよいよ三根夫は頭が変になったにちがいないと思い、
沈痛な面持になり、大きなため息をついた。 帆村がすべてを知るまでには、それから....
「海底都市」より 著者:海野十三
とふるわせた。 僕の好奇心は火柱《ひばしら》のようにもえあがったけれど、博士の
沈痛《ちんつう》な姿を見ると、重《かさ》ねて問《と》うは気の毒になり、まあまあと....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
大尉はその遺書を手にしたまま、分隊長はじめ一同の顔をぐるりと見まわした。誰もみな
沈痛な顔をしていて、一語も発する者がなかった。 「本当に脱艦したものだろうか。脱....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
ない。 作家梅野十伍は、拳固をふりあげて、自分の頭をゴツーンとぶん擲った。彼は
沈痛な表情をして、またペンを取り上げた。 「旦那ァ。昨日は朝っぱらから来たと叱ら....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
給へ、此世とのみは思はざりけり」と語る恋と法との界目は、実に主人公の風流に一段の
沈痛なる趣を加え、「夕暮の静かなる空のけしき、いとあはれ」な薄明の光線に包まれな....
「思い」より 著者:伊丹万作
なければ作らせないのだという意味のことを政府側の意図として伝え聞き、実に厳粛かつ
沈痛なる思いに沈んでいたところが、たまたま耳に流れてくるラジオの歌曲の相も変らぬ....
「簡潔の美」より 著者:上村松園
能楽の幽微で高雅な動作、その装束から来る色彩の動き、重なり、線の曲折、声曲から発する豪壮
沈痛な諧律、こんなものが一緒になって、観る人の心を打つのです。 その静かで幽か....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
聞きつつ薪を組上げて荼毘に附した。一代の詩人の不幸なる最後にふさわしい極めて悲壮
沈痛なる劇的光景であった。空しく壮図を抱いて中途にして幽冥に入る千秋の遺恨は死の....