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沈香
「沈香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沈香の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
津焼《からつや》きの釣《つ》り花活《はない》けがあるのも、かすかにたきこめられた
沈香《じんこう》のにおいも、目のつんだ杉柾《すぎまさ》の天井板も、細《ほ》っそり....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
が二枚、蒔絵《まきえ》模様のけっこうやかなおタバコ盆には、馥郁《ふくいく》として
沈香入りの練り炭が小笠原流《おがさわらりゅう》にほどよくいけられ、今は、ただもう....
「家」より 著者:島崎藤村
、番頭や手代と机を並べて、朝は八時頃から日の暮れるまで倦むことを知らずに働いた。
沈香、麝香、人参、熊の胆、金箔などの仕入、遠国から来る薬の注文、小包の発送、その....
「連環記」より 著者:幸田露伴
再び巣に帰る。 の句をなした。それのみか然様いう恐ろしいところではあるが、しかし
沈香を産するの地に流された因縁で、天香伝一篇を著わして、恵を後人に貽った。実に専....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
えが、ずいぶん見事なものだ、それでこの通りいい香りがするわい、伽羅《きゃら》とか
沈香《じんこう》とかいうやつの香りなんだろう、これを一番、能登守に持って行って狂....
「雪の宿り」より 著者:神西清
には花頂|若王子のお花御覧、この時の御前相伴衆の箸は黄金をもって展べ、御供衆のは
沈香を削って同じく黄金の鍔口をかけたものと申します。その前の年は観世の河原猿楽御....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
の堂でも見たのか。そこには、奇矯のかぎりを尽す群神の嬌態がある。それとも、麝香、
沈香、素馨の香りに――熱帯の香気に眩暈を感じたのではないか。 いずれにせよ、八....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
する。で、俺を迫害する! 僻むのは当然だ当然だ! ……騒げ、はしゃげがいい。……
沈香で部屋をくゆらせろ、伽羅で部屋をくゆらせろ! 龍涎香で部屋をくゆらせろ!」 ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
。
「高、二百両の端唄を、今夜は、披露しようと思うが――」
お高は、練《ねり》
沈香の匂を立てて、坐りつつ
「三文の、乞食唄?」
「又――」
「でも、深川あたり....
「おせん」より 著者:邦枝完二
がかげねえッて。ふふふ。世の中にこれ程のいい匂は、またとあるもんじゃねえや、伽羅
沈香だろうが、蘭麝だろうが及びもつかねえ、勿体ねえくれえの名香だぜ。――そんな遠....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
「キャラ子さん」という名前がある。 「キャラコ」のキャラは、白檀《びゃくだん》、
沈香、伽羅《きゃら》の、あのキャラではない。キャラ子はキャラコ、金巾《かなきん》....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
は駈けぬ老牛の痴に似たりけり。 金箔銀箔|瑠璃真珠|水精以上合わせて五宝、丁子
沈香白膠薫陸白檀以上合わせて五香、そのほか五薬五穀まで備えて大土祖神埴山彦神埴山....
「猪鹿蝶」より 著者:久生十蘭
を浮かせたあの厚手の吉野。帯は、コイペルのゴブランにして、西洋の香水は慎しんで、
沈香の心材に筏を彫った帯止だけにしておく。それでお出かけ……こちらが先に着いてい....
「三国志」より 著者:吉川英治
呉使が引き揚げると、曹操は喪を発して、百日のあいだ洛陽の音楽を停止させた。そして
沈香の木をもって関羽の骸を刻ませ、首とともにこれを洛陽南門外の一丘に葬らせた。そ....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
爵と夫人の前には大きな寝観音が安置され、螺鈿蒔絵の経机の上には青磁の香炉をのせて
沈香を焚き、細々と立ちのぼる煙はあたりの空気を、清浄なものに感じさせていた。その....