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没交渉
「没交渉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
没交渉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
もない。
彼は不快な眼をあげて、両側の町家を眺めた。町家のものは、彼の気分とは
没交渉に、皆その日の生計を励んでいる。だから「諸国|銘葉《めいよう》」の柿色の暖....
「母」より 著者:芥川竜之介
る》える肩、濡れた睫毛《まつげ》、――男はそれらを見守りながら、現在の気もちとは
没交渉に、一瞬間妻の美しさを感じた。
「ですけれども、――この部屋は嫌《いや》な....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
》の囃《はや》しと桜の釣枝《つりえだ》との世界にいながら、心は全然そう云うものと
没交渉な、忌《いま》わしい色彩を帯びた想像に苦しめられていたのです。ですから中幕....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
」と、頓狂な声を出すものもあった。しかし実戦に臨んで来た牧野は、そう云う連中とは
没交渉に、ただにやにやと笑っていた。
「戦争もあの通りだと、楽《らく》なもんだが....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
った。」
梯子の下に立った洋一は、神山と一しょに電話帳を見ながら、彼や叔母とは
没交渉な、平日と変らない店の空気に、軽い反感のようなものを感じない訳には行かなか....
「路上」より 著者:芥川竜之介
事務机の後《うしろ》に立たせて見たいような心もちがした。が、講義は教授の風采とは
没交渉に、その面倒なカント哲学の範疇《カテゴリイ》の議論から始められた。俊助は専....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
ど、重苦しい感銘を残していた。
けれどもプラットフォオムの人々は彼の気もちとは
没交渉にいずれも、幸福らしい顔をしていた。保吉はそれにも苛立《いらだ》たしさを感....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ひ》いては我々の歯痛ではないか? 勿論《もちろん》我我の歯痛などは世界の歴史には
没交渉であろう。しかしこう云う自己欺瞞は民心を知りたがる政治家にも、敵状を知りた....
「或る女」より 著者:有島武郎
な光景をうっとり見やっているような事もあった。
ただ一つこれらの群れからは全く
没交渉な一団があった。それは事務長を中心にした三四人の群れだった。いつでも部屋の....
「或る女」より 著者:有島武郎
人とがちゃんと大地の上に存在していた。しかしそれらは奇妙にも葉子とは全く無関係で
没交渉だった。葉子のいる所にはどこにも底がない事を知らねばならなかった。深い谷に....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
にいっさいの人間の活動を白眼をもって見るごとく、強権の存在に対してもまたまったく
没交渉なのである――それだけ絶望的なのである。 かくて魚住氏のいわゆる共通の怨....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の感じと強いて思いこんだ。お前の感情を訓練するのだと思った。そんな風にお前が私と
没交渉な愚かなことをしている間は、縦令山程の仕事をし遂げようとも、お前自身は寸分....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
関係について立入る必要はあるまい。 アメリカの宇宙開闢神話は、恐らく旧世界とは
没交渉にできたものと思われるのである格別の興味がある。ところがこれがまた旧世界の....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
が、その代りに又、何ひとつ言おうというような意思もなかった。彼はまるで人間界とは
没交渉な、ほかの生物かと思われるほどに冷やかな顔をしていた。 多くの迂闊な人た....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
れると思うが、これに盛られた思想の大部分は、全然私自身の平生の持論、又は信念とは
没交渉であるばかりでなく、幾多の場合に於て、私の全然知らない事実がその中に盛られ....