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没頭
「没頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
没頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
この事があってからまたしばらくの間、倉地は葉子とただ二人《ふたり》の孤独に
没頭する興味を新しくしたように見えた。そして葉子が家の中をいやが上にも整頓《せい....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
精力は、我々子供たちを驚かすことがしばしばあったくらいである。芸術に対しては特に
没頭したものがなかったので、鑑識力も発達してはいなかったが、見当違いの批評などを....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
私の提議は半顧の価値もなかるべきはずのものだ。私はそれほどまでに真に純粋に芸術に
没頭しうる芸術家を尊もう。私はある主義者たちのように、そういう人たちを頭から愚物....
「星座」より 著者:有島武郎
た。捨てよう捨てようと思いながら、今までずるずるとそれに引きずられていた。一事に
没頭しきらなければすまない。一人の科学者に詩の要はない。科学を詩としよう。歌とし....
「宣言一つ」より 著者:有島武郎
い。彼らは現代がいかなる時代であるかを知らないでいる。知っていながら哲学や芸術に
没頭しているとすれば、彼らは現代から取り残された、過去に属する無能者である。彼ら....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
その物に熱中する態度も、その一つである。そういう心持は、自分自身のその現在に全く
没頭しているのであるから、世の中にこれ位|性急《せっかち》な(同時に、石鹸玉《し....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
その時「今日」のいっさいが初めて最も適切なる批評を享《う》くるからである。時代に
没頭《ぼっとう》していては時代を批評することができない。私の文学に求むるところは批評である。....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
りながら、君は一年じゅうかの北海の荒波や激しい気候と戦って、さびしい漁夫の生活に
没頭しなければならなかった。しかも港内に築かれた防波堤が、技師の飛んでもない計算....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
い。主義というべきものはあるとしても、それが為めに私自身を見失うまでにその為めに
没頭することが出来ない。 やはり私はその長い廻り道の後に私に帰って来た。然し何....
「聖書」より 著者:生田春月
等かの価値を見出してくれているかも知れないなどと、例の詩人らしいいい気な自惚れに
没頭していると、 「さあ、今日は酒でも飲みながらゆっくり話そう」と云って、Kさん....
「転機」より 著者:伊藤野枝
な生活を想像させるのであった。私の心は果てしもなく拡がる想像の中にすべてを忘れて
没頭していた。 「おい、何をそんなに考え込んでいるんだい?」 よほどたってTは....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
たしは遂にそれを発見したよ。」 彼はほこりだらけの旅装束のままで、すぐに仕事に
没頭した。大理石はアウレリウスの冴えた槌の音をそのままに反響した。彼は長い間、誰....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
りて、電流の通れる針金の廻転することをも確かめ、翌年も引きつづきこの方面の研究に
没頭した。 以前からファラデーは種々の本を読んだときに、面白いと思うた事を手帳....
「苦楽」より 著者:上村松園
は、心境に無上の楽土を現顕し得るようでないといけないと思います。 作家が制作に
没頭している時、そこには無我の楽土が広がっていて、神澄み、心和やかにして、一片の....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
私は昭和二十八年には業界視察のため渡米、帰国してからは各工場の復旧と、拡張に
没頭した。そして聯合紙器はいま、年間売上げ七十億円、十五の工場と千七百名の従業員....