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沢蟹
「沢蟹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沢蟹の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「手紙」より 著者:芥川竜之介
とは心得ていると思いますが。」
僕はこう云う話の中にふと池の水際《みずぎわ》に
沢蟹《さわがに》の這《は》っているのを見つけました。しかもその
沢蟹はもう一匹の沢....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
寺の射的場のバッタ狩り。その後ろの丘の茸狩り。昔殿様の遊び場であった五十公野山の
沢蟹狩り。また、昔々、何とかという大名が城を囲まれて、水路を断たれて、うんと貯え....
「禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
は反対の側から山を下りる。 そして、菫《すみれ》が咲き、清水が湧き出す小溝には
沢蟹の這いまわるあの新道を野道へ抜けてブラブラと、彼の塒《ねぐら》に帰るのであっ....
「放生津物語」より 著者:田中貢太郎
夕方のことであった。その草原から放生湖の方に流れている無名水の蘆の茂った水溜で、
沢蟹を追っかけていた五六人の小供の群は、何時の間にか祠の前へ来て戦ごっこをしてい....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
、それから、裏口、表口、二階と、すっかり戸締りをしてしまった。 「こんな雨の晩、
沢蟹がいやですわ。」 家のそばに、小さな谷川があって、雨で水がふえると、
沢蟹が....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
と、何十丈か崖下の河原に眼をやった。すると大きな雌熊が仔熊二匹をつれて、岩の下の
沢蟹を掘っては食い、掘っては食いしているではないか。その途端、私の腰はへなへなと....
「老狸伝」より 著者:佐藤垢石
っくわし、胆を潰して命からがら逃げたことがある。楢俣沢の奴は、子供を連れて渓流の
沢蟹を掘って食べているところを、二、三十間離れた崖路の上から望んだのであったが、....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
即ち路也。水、足を没す。膝までには及ばず。岩石あれば、岩石より岩石へと足を移す。
沢蟹がおりそうなりとて、嘉助氏石を取りのけしに、果しておりたり。一同傚いて、行く....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
は跼み込んで、両手に水を掬おうとした。
「…………」
水はよくよく澄んでいて、
沢蟹の影も見えるくらいだった。月はもう傾いているので、この水には宿っていなかった....
「山の人生」より 著者:柳田国男
ただし「魚鳥の肉を火に投ずるときは、その臭気を厭うて去る」というのは、少しく前の
沢蟹の話とは一致せぬが、火に対する趣味などにも地方的に異同があるのだろう。前に引....