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「河心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

河心の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
藁草履」より 著者:島崎藤村
《さかのぼ》るにつれまして、さすがの大河も谿流《けいりゅう》の勢に変るのですが、河心が右岸の方へ酷《ひど》く傾《かし》いでおりますので、左岸は盛上がったような砂....
河明り」より 著者:岡本かの子
ポケットを押えてみて、窓からお叩頭をした。 怠惰なエンジンの音が聞えて、機船は河心へ出た。河と云いながら、大幅な両岸は遠く水平線に退いて、照りつける陽の下に林....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
脈、菅平の高原、高社山、その他の山々は遠く隠れ、対岸の蘆荻も枯れ潜み、洲の形した河心の砂の盛上ったのも雪に埋もれていた。奥深く、果てもなく白々と続いた方から、暗....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
る。岸近い船はわたりをかけて、尾上河岸《おのえがし》あたりのいきな家にたのむが、河心《かわなか》のはそうはいかない。気のきいた船頭が、幕や苫《とま》で囲いをして....
河霧」より 著者:国木田独歩
るや、纜を解いて、棹を立てた。昔の河遊びの手練がまだのこっていて、船はするすると河心に出た。 遠く河すそをながむれば、月の色の隈なきにつれて、河霧夢のごとく淡....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
工の小屋が飛々、離々たる原上の秋の草。風が海手からまともに吹きあてるので、満潮の河心へ乗ってるような船はここにおいて大分揺れる。 「釣れる段か、こんな晩にゃあ鰻....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、七名は、ばらばらとそこへ先廻りして降口を扼して待っていた。 ――だが船は遠く河心に止まっていて、ぐるぐる廻っているのだった。客も船頭も、事態の容易ならぬもの....
私本太平記」より 著者:吉川英治
のほか、すべて渺としていた。 「菊王」 「は」 「あいにく、こよいは満月。あまり河心へ漂い出るな。遠目も恐い」 「して、どう落ちのびまするか。ここは川ノ辻です。....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
遠く隔てている満々たる川幅であった。その水面と蘆の洲にはまた眼を刺す一物もなく、河心あたりに魚か水鳥がチラと白いものをかすめたきりであった。 あんな田舎が大阪....
銀河まつり」より 著者:吉川英治
める。――と小舟が待っていた。慎吾は何かささやいてお芳だけをそれにのせて、ひろい河心の丘へ送ってしまった。 半町ばかり先に、蛍ほどの赤い火が見えだした。七は、....
無宿人国記」より 著者:吉川英治
と、立ちかけると、兵部が、 「いや、そのまま、行け、着けてはならん」 と、船を河心へ返させて、一角へ、顎で、陸の人影をさしていった。 「さすがに、町方というも....
魚紋」より 著者:吉川英治
の骨などはよく見える。 『も少し、真ん中のほうかしら』 考えてみると、河床は、河心へ向って、だんだんに深くなっているので、雨ふり揚句の水嵩が増した時などには、....