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河鹿
「河鹿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
河鹿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「交尾」より 著者:梶井基次郎
露路を立ち去ってしまった。物干しの上の私には気づかないで。 その二 私は一度|
河鹿《かじか》をよく見てやろうと思っていた。
河鹿を見ようと思えばまず大胆に河....
「みちのく」より 著者:岡本かの子
《ひょうきん》らしいところを見せ、出迎えの連中の中での花形になっていた。 私は
河鹿《かじか》の鳴く渓流《けいりゅう》に沿った町の入口の片側町を、この老婦人も共....
「鮨」より 著者:岡本かの子
い方もうまかったが、ときどきは失敗して数を減らした。が今年ももはや初夏の季節で、
河鹿など涼しそうに鳴かせる時分だ。 ともよに気がつかないで硝子鉢をいたわり乍ら....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
なかで宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く、梟が鳴く。門付けの芸人が来る。碓氷川の
河鹿はまだ鳴かない。 おととしの夏ここへ来たときに下磯部の松岸寺へ参詣したが、....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
頭の町へ止りました。 そして私は自動車でなお二里半ほど奥へ入りました。ここから
河鹿の音を聞きながら本谷川を上って行きます。ときどき涼しい風が両側の谷から吹いて....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
だと人はきくにちがいない。それが実にいやな変な奴なのである。陰鬱な顔をしている。
河鹿のような膚をしている。そいつが毎夜極った時刻に溪から湯へ漬かりに来るのである....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
白玉 川開き 草市と盂蘭盆 灯籠流し 蒲焼と蜆汁 丑べに 朝顔と蓮 滝あみ 虫と
河鹿 走り鮎 縁日と露店 新内と声色 十五夜と二十六夜 細見と辻占売り おさらい....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
事でございますから木に当る風音と谷川の水音ばかりドウードッという。折々|聞ゆるは
河鹿の啼声ばかり、只今では道路がこう西の山根から致しまして、下路の方の川岸へ附き....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
私の趣味性を唆るものあらば座右に備えて悠々自適し、興来って新古の壱巻をも繙けば、
河鹿笛もならし、朝鮮太鼓も打つ、時にはウクレルを奏しては土人の尻振りダンスを想っ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
なるのだが、それが分からないからいずれの河としても味うことが出来る。一首は、蝦(
河鹿)の鳴いている甘南備河に影をうつして、今頃山吹の花が咲いて居るだろう、という....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
は、女のやうななで肩で、細々と痩せ身のせゐであつたらうが、フンドシ一つではとんと
河鹿が思案にくれてゐるやうで、亡者が墓から出てきたばかりのやうに土の上にションボ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
た。他に客もないかして、三味線の音締めも聞こえない。銀の鈴でも振るような、涼しい
河鹿の声ばかりが、どこからともなく聞こえて来た。 「芸の力は恐ろしいものだ」ふと....
「鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
ごとく胡蝶のむらがっているようにも見えた。川では蛙の声もきこえた。六月になると、
河鹿も啼くとのことであった。 私はここに三週間ほどを静かに愉快に送ったが、そう....
「山吹」より 著者:泉鏡花
静にポケット・ウイスキーを傾けつつあり。――鶯遠く音を入る。二三度鶏の声。遠音に
河鹿鳴く。しばらくして、立ちて、いささかものに驚ける状す。なお窺うよしして、花と....
「磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
往来中で宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く。梟が鳴く。門附の芸人が来る。碓氷川の
河鹿はまだ鳴かない。 一昨年の夏ここへ来た時に下磯部の松岸寺へ参詣したが、今年....