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油を流したよう
「油を流したよう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油を流したようの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「桜の樹の下には」より 著者:梶井基次郎
乾いた磧《かわら》へ、小さい水溜を残している、その水のなかだった。思いがけない石
油を流したような光彩が、一面に浮いているのだ。おまえはそれを何だったと思う。それ....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
の大きな内海を抱きこむようにして、漂渺たる汀を長々と横えている。向って右側には、
油を流したような静かな内湾地帯だ。幾つもの小さな岬が重なり合った手前には、ひとき....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
に巡り出した。灰色の漣が島の根方を、音を立てずに洗っていた。入江の水は平らかで、
油を流したように穏かであった。 もし庄三郎が気絶から覚めて、その島を仔細に眺め....
「幽霊と推進機」より 著者:夢野久作
り前までカラカラに晴れ渡っていた空が、いつの間にか蒸し暑い灰色に掻き曇って来て、
油を流したように光る大ウネリが水平線の処まで重なり合っている。ハイカラの一等運転....
「恐竜島」より 著者:海野十三
だかれて、原始人《げんしじん》のような素朴《そぼく》な生活がつづいた。あるときは
油を流したようをしずかな青い海の上を、モンパパ号は大いばりで進んでいった。またあ....
「怪塔王」より 著者:海野十三
でいました。 このとき、一天は晴れわたり、どこまでも展望がききます。また海上は
油を流したように穏やかで、ただ艦艇のあとには、数条の浪がながくつづいていました。....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
じ原色版の絵ハガキを見るような晴天がつづく。今日も朝から、空は紺碧に澄み、海面は
油を流したように凪いでぎらぎら輝く。 飛行島建設団長リット少将は、たいへん早起....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
にあった。
夕陽《ゆうひ》の辻《つじ》
似よりの船あし。
風のない昼夜。
油を流したような入《い》り海《うみ》に、おなじ隔《へだ》たりがふたつの船のあいだ....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
に淡く映っていた。見るともなくそれに眼をつけている時、松の影がゆらゆらと動いて、
油を流したように、保子の姿が水の面《おもて》に漂った。気がつくと、もうそれは消え....
「夏の小半日」より 著者:寺田寅彦
ほうから吹き始め、だんだん陸に近よって来ます。浜べはまだ風がなく蒸し暑くて海面が
油を流したようにギラギラして、空を映している時、沖のほうの海面がきわ立って黒くな....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
りをむすぶ、それだけを恋愛と思うのは波を見て海を見ないような気がするんだね。波は
油を流したようになぐ時があるし、波の底にはざわめくことのない本当の海がジッと息づ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
中海上の吟) 日沈地中海、風定水如知何処洲。 (日は地中海に没し、風もやんで海は
油を流したようにおだやかである。月の光のもとに山影をみとめたが、そこがいったいど....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
は大師参りに当る久しぶりの休日だった。私は摩耶山に登り、帰り道、おりからのなぎに
油を流したような神戸港をながめて考え込んだ。 『よし、ひとつお伊勢参りに出かけて....