油単[語句情報] »
油単
「油単〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油単の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
は、なにか取り込み中で、まだ御整理のできていない奥様のお箪笥や鏡台が、遠慮深げに
油単をかけて置かれてあったのでございますが、香油の匂いを嗅いでふと思わず頭をあげ....
「猫車」より 著者:宮本百合子
に坐椅子をあてがった。 「この布団入れときますか」 「やっぱりその方が楽にあろ」
油単をなおした大紋付の掛布団を丸めて、坐椅子と庄平の背中との間に挾んだ。そうして....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
見ると、不安げに見まもっていた女の子は、はじめてホッと安心したらしく、立ち直って
油単《ゆたん》をかけて置いた台のものをとると、そこに、お重があり、お銚子が待って....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 障子の紙を伝って、天井へメラメラと火がのぼると、折悪《おりあ》しく、そこへ
油単《ゆたん》の包みが破れて、その紙片が長く氷柱《つらら》のようにブラ下がってい....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、柳江、納所僧の空闥と慈昶、寺男の久八――と以上の順で訊問する事になった。褪せた
油単で覆うた本間の琴が立て掛けてある床間から、蛞蝓でも出そうな腐朽した木の匂いが....
「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
れて居てどうもしようがなかったのをたすけられてこの上もなくよろこび心をおちつけて
油単の包をあらためて肩にかけながら、「私は越前福井の者でござりまするが先年二人の....
「掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
の下の青銅の鉢には必ず花が活《い》けてあった。それと向い合った壁際には桐の箪笥が
油単《ゆたん》に被われて、その側に紫檀の大きな鏡台が置いてあった。その少し斜め上....
「白木蓮」より 著者:豊島与志雄
かがなくなった、という気持ちにぴたりと落着いた。――彼女の肉体がなくなったのだ。
油単のかかってる箪笥、覆いのしてある鏡台……、こまごました器物は取り片づけられて....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
堂々として押し出した。後から白木の唐櫃が行く、空色に白く葵の御紋、そいつを付けた
油単を掛け、黒の縮緬の羽織を着た、八人の武士が警護したが、これお証拠の品物である....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
というのは一頭の裸馬に、男か女かわからなかったが、一人の人間をくくりつけ、それへ
油単を上から冠せた、そういう人と馬とを囲繞し、十数人の荒くれ男が、鉄砲、弓、槍な....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
た」 「……なにか御祝儀でもありましたろう、おりあしく、榊原のお徒士《かち》衆が
油単《ゆたん》をかけた釣台《つりだい》をかついで門から出てまいりまして……それで....
「病」より 著者:正岡子規
れぬ。二時間ばかり待ってようよう釣台が来てそれに載せられて検疫所を出た。釣台には
油単《ゆたん》が掛って居て何も見えぬけれども人の騒ぐ音で町へ這入った事は分る。殊....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
寺の一房へ入った。 旅の夜々にも、やや馴れて来た。時には、借る宿もなく、木蔭に
油単を敷いて、更着を被いでしのぐ晩もあり、木賃の破れ屋根の穴に星を見つつ臥す晩も....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
たちほどには風呂敷包みを持ってあるかない。九州地方には風呂敷という名はなくて、平
油単というのがこの風呂敷のことである。
油単はもと行燈などの下に敷く敷物、のちには....