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「油壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

油壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
、いつもトランプの運だめしをしていた。そのまた彼の頭の上には真鍮《しんちゅう》の油壺《あぶらつぼ》の吊《つ》りランプが一つ、いつも円《まる》い影を落していた。…....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
前に召し出されて何か命令された。家来はかしこまって退いたかと思うと、やがて大きい油壺を重そうに荷《にな》って来た。千枝松は今まで気がつかなかったが、このとき初め....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
型の画架に殆ど仕上った一枚の小さな画布が仕掛けてあり、調色板は乱雑に投げ出されて油壺のリンシード・オイルは床の上に零れ、多分倒れながら亜太郎がその油を踏み滑った....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
出来る。次に此処に竹藪がある。これが又非常に重大な武器だ。ひっ削いで火に燻らせ、油壺の中へザンブリと入れたら、それで百本でも二百本でも、急拵えの竹槍が出来る。が....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ともありますね。昔はこの辺を公郷の浦とも、大田津とも言ったそうです。この半島には油壺というところがありますが、三浦|道寸父子の墓石なぞもあそこに残っていますよ。....
愛と美について」より 著者:太宰治
つくして、そうしてみんな顎を伝って胸に滑り込み、その気持のわるさったら、ちょうど油壺一ぱいの椿油を頭からどろどろ浴びせかけられる思いで、老博士も、これには参って....
足迹」より 著者:徳田秋声
しあたり必要な古火鉢や茶呑み茶碗、雑巾のような物が運ばれ、父親は通りからランプや油壺、七輪のような物を、一つ一つ買っては提げ込んで来た。母親は木の香の新しい台所....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
一間しかない小屋の中には、味噌桶、米俵、酒の瓶、塩鮭の切肉、醤油桶、帚、埃取り、油壺、綿だの布だの糸や針やで室一杯に取り乱してあり、弓だの鉄砲だの匕首だの、こう....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
れ突け」というのは、その棒で突けというのです。乱暴なものだ。また最も流行ったのは油壺に胡麻油か何かを入れて、中に大判小判を沈ましてあって、いくばくか金を出して塗....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
突刺してるじゃありませんか。」 「大変で、はあ、はあ、」 「ト思うと一|呼吸に、油壺をかけて突壊したもんだから、流れるような石油で、どうも、後二日ばかり弱りまし....
地獄の使」より 著者:田中貢太郎
は里芋を皿へ盛って仏壇の前へ往き、それをさっきの餅と並べて供え、その並びの棚から油壺を執って、瓦盃に注ぎ、それから火打石でこつこつと火を出して灯明をあげ、それが....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の上ではあまり明らかでないが、彼女自身の通信によれば、落城後間もなく病にかかり、油壺の南岸、浜磯の仮寓でさびしく帰幽したらしいのであります。それかあらぬか、同地....
山姑の怪」より 著者:田中貢太郎
障子の穴から覗いてみた。行灯の横手に坐った恐ろしい獣のような顔をした女が、瓦盃へ油壺の油を入れて飲んでいるところであった。源吉は怕くて体がぶるぶると顫いだしたが....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
なつた。 するとそこへ現れたのは絹川といふ絶世の美男子で二十七になる会社員だ。油壺から出てきたやうなとはこの男で、お酒は一本しか飲まない、お料理は殆どとらない....
おせん」より 著者:邦枝完二
も買わずに、おせん坊へ突ッ走ったな豪勢だ。こんな鉄錆のような顔をしたおいらより、油壺から出たよなおせん坊の方が、どれだけいいか知れねえからの。いやもう、浮世のこ....