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油差
「油差〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油差の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
を尽くしていた。 機関室の方も汽罐室《きかんしつ》の方も、非常な困難があった。
油差しは、動揺のために、機械と機械との狭い部分に入り込むのに、神秘的な注意を払っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
姿も見きわめないで、あわてて自分の部屋に逃げて帰った。裏二階の人殺しがほんとうの
油差しの男に発見されたのは、それから小半刻の後であった。 自分のかかり合いにな....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
関助手の杉本は、ゴールデン・バットに炉口の火を点けてそいつを横ッちょに銜えると、
油差を片手に鼻唄を唄いながら鉄梯子を降りて行ったんです。 が、間もなく杉本は顔....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
こたえがあるから、ばかばかしいはばかばかしいなりに辛抱して、その油買いにも行き、
油差しもしようというものであります。 「油買いに茶買いに、油屋の縁で辷《すべ》っ....
「上海された男」より 著者:牧逸馬
彼は近海《きんかい》商船の豊岡丸《とよおかまる》から下船した許《ばか》りの三等
油差しだという話だった。遠航専門の甲板部の為吉とは話も合わないので、夜っぴて唸《....
「オンチ」より 著者:夢野久作
その大股にノッシノッシと歩く又野の右側から、チョコチョコと跟いて来る小柄な男は、
油差しの戸塚という青年で、敏捷らしい眼に鉄縁の近眼鏡をかけている。色の黒い、顔の....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
、間もなく私達の眼の前の船渠を指差しながら口を切った。 『その二号|船渠で、昨日
油差しを引っくりかえした様でした。何んでしたら御案内しましょう。』 技師はそう....
「マクシム・ゴーリキイの伝記」より 著者:宮本百合子
書には科学的なものが多かった。彼はチェルニゴフの鍛冶屋の息子であった。キエフ駅の
油差しとして労働しているうちに運動に入り、労働者の研究会を組織した。捕縛されて二....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ない。 のみならず。――すぐこの階のもとへ、灯ともしの翁一人、立出づるが、その
油差の上に差置く、燈心が、その燈心が、入相すぐる夜嵐の、やがて、颯と吹起るにさえ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
くう》そうに烏帽子《えぼし》を冠《かぶ》って、その紐を横っちょの方で結んで、銅の
油差を片手に、低い床几《しょうぎ》を片手に持って、草履をつっかけて外へ出ましたの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
言う途端、立てかけて置いた板戸がたおれて、小坊主は怪我をした上に、手に持っていた
油差の油をこぼしてしまったという話。やがて笛を止めて一座が、この盲人の勘をためす....
「肌色の月」より 著者:久生十蘭
に天井の裏側が見えた。三方はモルタルの壁で、綰《わが》ねたゴムホースや、消火器や
油差などが掛かっている。頭のほうに戸口があって、そこから薄緑に染まった陽がさしこ....
「おせん」より 著者:邦枝完二
らじゃねえよ。油が切れちゃったんだ」 「油が切れたッて。そんなら、行燈のわきに、
油差と火口がおいてあるから、速くつけてくんねえ」 「どこだの」 「行燈の右手だ」....