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油気
「油気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
そり返った下見板の木目と木節は鮫膚《さめはだ》の皺《しわ》や吹出物の跡のように、
油気の抜けきった白ペンキの安白粉《やすおしろい》に汚なくまみれている。けれども夜....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
て黝んでいた。 未だ三十六だったが、眼のまわりの皺は四十を越えていた。髪の毛は
油気もなく、バサバサと乾いていた。仕立物の賃仕事に追われていたのだと、豹一は見る....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
それでもたった一度若い娘が拝んでいるのを見たことがある。娘は十七、八らしい。髪は
油気の薄い銀杏がえしに結って、紺飛白の単衣に紅い帯を締めていた。その風体はこの丘....
「わが町」より 著者:織田作之助
「あんた、なんぜ、手紙くれへんかってん。帰るなら帰ると……」 お鶴の髪の毛は、
油気もなくばさばさと乱れて、唐辛子の粉がくっついていた。 唐辛子の刺戟がぷんと....
「観画談」より 著者:幸田露伴
と鈍い声をして、土間の左側の茶の間から首を出したのは、六十か七十か知れぬ白髪の
油気のない、火を付けたら心よく燃えそうに乱れ立ったモヤモヤ頭な婆さんで、皺だらけ....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
概橋場あたりで言付ければ残らず船でまいりまして、着換えなど沢山着換えまして、髪は
油気なし、潰しという島田に致しまして、丈長と新藁をかけまして、笄は長さ一尺で、厚....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
唐檜や栂やの純林である、樹は大きくはないが、ひょろひょろ痩せて丈が高い、そうして
油気の失せた老人のように、はしゃいだ膚をして、立っている、十五、六年前に、一度伐....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
充分に写させ、そして日本一|大々尽の嫁にして、あの雑綴の木綿着を綾羅錦繍に易え、
油気少きそゝけ髪に極上々|正真伽羅栴檀の油|付させ、握飯ほどな珊瑚珠に鉄火箸ほど....
「露肆」より 著者:泉鏡花
火鉢も無ければ、行火もなしに、霜の素膚は堪えられまい。 黒繻子の襟も白く透く。
油気も無く擦切るばかりの夜嵐にばさついたが、艶のある薄手な丸髷がッくりと、焦茶色....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
襟は藤色で、白地にお納戸で薩摩縞の単衣、目のぱッちりと大きい、色のくッきりした、
油気の無い、さらさらした癖の無い髪を背へ下げて、蝦茶のリボン飾、簪は挿さず、花畠....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
ら、始めて懶い睚をあげて、前の席に腰を下していた小娘の顔を一|瞥した。 それは
油気のない髪をひっつめの銀杏返しに結って、横なでの痕のある皸だらけの両|頬を気持....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
約を脱せしめようと努め、また学的には充分な生の芸術的感覚の背景が行間に揺曳して、
油気のない道学者の感がないからである。 初学者はこの書によって入門し、倫理学の....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
その男は誇張していえば「大阪で一番汚ない男」といえるかも知れない。髪の毛はむろん
油気がなく、櫛を入れた形跡もない。乱れ放題、汚れ放題、伸び放題に任せているらしく....
「妖怪学」より 著者:井上円了
かに保つときは、また塵毛の皮膚面にとどまりやすき事情あり。第三に、婦人はその手に
油気を帯ぶるをもって、これまた粘着しやすき事情あり。かつ、ひとたびとどまりたるも....
「磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
それでもたった一度若い娘が拝んでいるのを見たことがある。娘は十七、八らしい、髪は
油気の薄い銀杏返しに結って、紺飛白の単衣に紅い帯を締めていた。その風体はこの丘の....