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油絵の具
「油絵の具〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油絵の具の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
術家である。何故《なぜ》かと云うと田中君は、詩も作る、ヴァイオリンも弾《ひ》く、
油絵の具も使う、役者も勤める、歌骨牌《うたがるた》も巧《うま》い、薩摩琵琶《さつ....
「或る女」より 著者:有島武郎
に書いてあるY・Kという白文字を見て忙《せわ》しく手を控えた。これはきのう古藤が
油絵の具と画筆とを持って来て書いてくれたので、かわききらないテレビンの香がまだか....
「食魔」より 著者:岡本かの子
。病友は鼈四郎にうしろ頸に脹れ上って今は毬が覗いているほどになっている癌の瘤へ、
油絵の具で人の顔を描けというのである。「誰か友だちを呼んで見せて、人面疽が出来た....
「清貧の書」より 著者:林芙美子
ー! 暑いせいか焦々して喧嘩《けんか》しちまったよ」 「誰とさア」 「なまじっか
油絵の具を捏《こ》ねた者は、変な気障《きざ》さがあって困るって、ペンキ屋同士が云....
「杉子」より 著者:宮本百合子
を覆うように茂った若葉、重なりあった楓の青葉など、あたりの新緑は深くてこっそりと
油絵の具の重さと感覚を校庭から教室の窓辺まで漲らせている。 始りは神妙に黒板と....
「子猫」より 著者:寺田寅彦
通りの氷屋へそれぞれ片付いて行った。私は記念にと思ってその前に四匹の寝ている姿を
油絵の具でスケッチしておいたのが、今も書斎の棚の上にかかっている。まずい絵ではあ....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
の業なのだ。私の動脈は噴水の様にしぶいた。 吉田さんは震えて沈黙っている。私は
油絵の具の中にひそむ、あのエロチックな匂いを此時程嬉しく思った事はなかった。 ....
「院展遠望」より 著者:和辻哲郎
いないが、ただ鑑賞者として画に対する場合にも、この事を強く感ぜずにはいられない。
油絵の具は第一に不透明であって、厚みの感じや、実質が中に充ちている感じを、それ自....
「院展日本画所感」より 著者:和辻哲郎
。柔らかい若葉の豊かな湧き上がるような感触は、――ただこの感触の一点だけは、――
油絵の具をもって現わし難いところを現わし得ているように思われる。また川端氏の画と....