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油色
「油色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油色の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「将軍」より 著者:芥川竜之介
家が七八軒、ひっそりと暁《あかつき》を迎えている、――その家々の屋根の上には、石
油色に襞《ひだ》をなぞった、寒い茶褐色の松樹山《しょうじゅざん》が、目の前に迫っ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
(五月×日)
なまぐさい風が吹く
緑が萌え立つ
夜明のしらしらとした往来が
石
油色に光っている
森閑とした五月の朝。
多くの夢が煙立つ
頭蓋骨《ずがいこつ》....
「河沙魚」より 著者:林芙美子
一歩ずつゆるく川底にはいってゆきながら、眼をすえて水の上を眺《なが》めていた。石
油色のすさびた水の色が、黄昏のなかに少しずつ色を暗く染めていった。水しぶきが冷た....
「旅愁」より 著者:横光利一
何も出て来ない。通行人の吐き流した煙草の煙が流れもせず、はっきりした形で流れず、
油色のままに停っている。水中のような夕闇の樹の葉の中で時計台に灯が入った。
「お....
「小さな旅」より 著者:富田木歩
の心は躍った。折しも輝き出した星の色は私の心の喜びの色か。 行く春や蘆間の水の
油色 思い残すこともなく帰途についた。三圍神社の蓮池には周囲の家の灯影が浮い....
「娘」より 著者:岡本かの子
の頃から漕ぎ出したか、いつの頃には漕ぎ終るか、それも知らない。ただ漕いでいる。石
油色に光る水上に、漕いでいる。 ふと投網の音に気が逸れて、意識は普通の世界に戻....
「みずうみ」より 著者:室生犀星
に眺め、なかば諦めたような顔つきをして、ぐいと、水馴棹を立てると、大きな島影は石
油色をした虹のような小波を立てて、ゆらりとその静かな影を揺れくずし初めた。 一....