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油虫
「油虫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油虫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
と肚をきめた。扉は開け放しにしてあった。というのは、主婦が何か魚を調理しながら、
油虫の姿すらそれと見分けることができないほどもうもうたる煙を台所にみなぎらしてい....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
り出された事実や想像の妙な話にしばしば胆を冷やすことがある。われわれは、ねずみや
油虫を食べて生きているのでないとしても、蓮の香を吸って生きていると思われている。....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
しばらくは、線路の両側にただ工場、また工場、かと思えばその間に貧しい小さい家が、
油虫のように無数にかたまって建っている、と思うと、ぱらりと開けてわずかな緑地が見....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
が何になってしまったか、浜か、山か、一里塚か、冥途の路か。船虫が飛ぼうも、大きな
油虫が駈け出そうも料られない。廊下へ出るのは気がかりであったけれど、なおそれより....
「小公女」より 著者:菊池寛
れれば平気になるのよ。小使娘に生れると、いろんな事に慣れなけりゃアなりませんよ。
油虫なんかよりは、鼠の方がよっぽどましだわ。」 「私もそう思うわ。鼠となら、時が....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
それから、その腹黒い極悪な不埒者を馬蹄にかけたことは、私は善行だと思うねえ、君。
油虫を踏み潰したようなものだよ。このホーキンズという子も偉い。ホーキンズ、そのベ....
「イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
所まで行かないうちに、娘たちを空へ出して爆弾を投げ下させました。娘たちは、まるで
油虫に砂でもまくように、シモンの兵隊の上に、爆弾を投げ下しました。そこで、シモン....
「桜の園」より 著者:神西清
して、クワスでノドをうるおそうと思って手にとると、またしても、いやはや、たとえば
油虫といったたぐいの、極度に無礼千万なやつがはいっている。(間)あんたはバックル....
「田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
、果樹につく天狗虫、赤虫、綿虫や、それから薔薇や他の草花やの茎にとかくつきたがる
油虫やの類を見つけ次第に一一除り去ってやった。それは、良い果実を収穫し、良い花を....
「決闘」より 著者:神西清
ーフスキイも同意見だ。彼は自然科学のことは一向|弁えがない。だから、蟻の触角だの
油虫の足だのに没頭している連中の、権威たっぷりの語調や深刻らしい学者面には、何と....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
棟の土蔵へ通う屋根廊下には旧家らしい薄闇が漂っていた。桟窓からさし込む陽に飴色の
油虫が二三びき光った。 「気味がお悪くは無くて。あたし陰気でこの家好きになれませ....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
などは皆患者の病室に一|所に起臥して、外科室には丹毒が絶えたことは無い。患者等は
油虫、南京虫、鼠の族に責め立てられて、住んでいることも出来ぬと苦情を云う。器械や....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
おそうか、お吉来たの、よく来た、まあそこらの塵埃のなさそうなところへ坐ってくれ、
油虫が這って行くから用心しな、野郎ばかりの家は不潔のが粧飾だから仕方がない、我も....
「近頃感じたこと」より 著者:小川未明
た組織的な生活を営んでいる、感心な虫であることは、知っていましたが、木や、竹に、
油虫をはこび、せっかく伸びた芽をいじけさせて、その上、根もとに巣をつくり、幹に穴....
「天才」より 著者:神西清
眉毛に隠れて見えない。実になんとも言いようのない繁りよう絡まりようである。蠅でも
油虫でも一旦この密林に迷いこんだら最後、死ぬまで帰り途は見つかるまい。 エゴー....