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油障子
「油障子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油障子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
町なのであります。町へ出て飲み屋へ行っても、昔の、宿場のときのままに、軒の低い、
油障子を張った汚い家でお酒を頼むと、必ずそこの老主人が自らお燗《かん》をつけるの....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
い、いちいちとまず注意深く見しらべました。表の出入り口は北鳥越町の通りに面して、
油障子が二本。むしろの敷いてあるところはその出入り口をはいったすぐの左土間です。....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ほぐれだしたのです。 主従の足は飛ぶようでした。案の定、佐久間町の通りかどに、
油障子で囲んだ安駕籠屋が見えるのです。 「だれかおらんか」 「へえへえ。ひとりお....
「食魔」より 著者:岡本かの子
牽き付けようとしているかを、じろりと見検めるのだった。 ある店では、紋のついた
油障子の蔭から、赤い蟹や大粒の蛤を表に見せていた。ある店では、ショウウィンドーの....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
が、乗り心地もまた悪くない。 町から町は凩ゆえにか大方もう寝しずまって辻番所の
油障子にうつる灯が、ぼうと不気味に輝いているばかり……。 「その駕籠待たッしゃい....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
一雪崩に崕になって、崕下の、ごみごみした屋根を隔てて、日南の煎餅屋の小さな店が、
油障子も覗かれる。 ト斜に、がッくりと窪んで暗い、崕と石垣の間の、遠く明神の裏....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
口は、引き戸へ潜《くぐ》り口のついたのが一枚おりている。上の方は、暑中でなければ
油障子がおろされ、家の中からの灯が赤く、重ったくうつって、墨で描いた屋号の印《し....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
形跡《ぎょうせき》歴然《れきぜん》!
「おのれッ!」
と栄三郎、手を乾雲の柄に
油障子を引きあけると……いたずらに躍る白羽落花の舞い。
深夜の江戸を一|刷《は....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
雪は、人から、顔を見られるのが厭なので、傘を傾けて通った。
大きい達磨を書いた
油障子の立ててある髪結床の前に、薬湯と、横板の看板のかかった湯屋があった。その横....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
ら」
「冗談じゃあねえぜ。あれを見な。もうとうに陽がかげって、お向家《むけえ》の
油障子に灯《あかり》がにじんでいるのだ。かれこれ一刻半《いっときはん》もぐっすり....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
うの年増であったが。 車の蔭に古簾が見え出して角の中に琴という字が書いてあった
油障子はペンキ塗りの硝子戸に変っているが相変らず、さらし袋のかかっている店先の山....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
声に、馬琴は聞き覚えがなかった。が、そのまゝではいられなかったと見えて、土間から
油障子の外へ首を伸した。 「おいでなさいまし」 入口に立っていた男は、「ふん」....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
建のささやかな一軒家が、暴風に踏みこたえて、戸障子が悲鳴を揚げていた。 腰高の
油障子に、内部《なか》の灯がうつって、筆太《ふでぶと》の一行が瞬いて読める――「....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
と見える。その他、遊びの人たちも、慌しくはないが散り散りの中へ交って……御休所と
油障子に大きく書いたのを、背中へ背負って、緋めれんすの蹴出しで島田髷の娘が、すた....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
……といってもこのほうは鮟鱇鍋……のなかへ箸を入れた。――話が切れると、おもての
油障子に、さら、さら、とふりかけるみぞれの音がしのびやかに聞えた。 田代は箸の....