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治癒
「治癒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
治癒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
男性から受ける笞《むち》とちがって、内出血みたいに極度に不快に内攻して、なかなか
治癒《ちゆ》し難い傷でした。 女は引き寄せて、つっ放す、或いはまた、女は、人の....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
。この患者の体力消耗が一時的現象で、このまま回復するのだと、肺尖加答児も間もなく
治癒するだろうから、折角始めて得た子宝のことでもあり、流産をさせないで其の儘、正....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
更に悪化したのだった。ラジウムも適当なる時間を限って患部に当てれば、吃驚するほど
治癒が早いが、度を過ごすと飛んだことになるのだった。 「おい一九九四号、出てこい....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ゲリゾンをのんだり、アルバジルをつけたり膏薬を貼ったり、諸策を講じているが、まだ
治癒のきざしはない。 ◯特別配給の「光」三十本に、多少ゆったりとタバコをふかす。....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
って、移動性を失って来るんだ。象皮病で死んだと言う事は余り聞かないが、旧態通りに
治癒るって事は、ま、大体絶望らしいな」と助役はここで一寸いずまいを正して、「……....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
――と。ところが、まさしく扉の附近には山羊の臭気がするので、それで患者は精神的に
治癒されてしまうのだ。ねえ熊城君、その山羊の臭気というものの中に、デイの詐術が含....
「脳の中の麗人」より 著者:海野十三
ございましょうね」 「まあ、そんなところだろうよ」 看護婦長すら満足したほどの
治癒程度で、宮川は退院した。 病院の門を出て、彼が一つの町角を曲ると、そこには....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
なく、なかにはすぐその翌日、再びやって来て、涙と共に長老の前にひれ伏して、病人を
治癒《ちゆ》してもらった礼を述べるのであった。はたしてそれが事実、長老によってな....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
――ある者には、(たとえばあなたの友人のヴァトレー氏には、)聖トマスへのように、
治癒《ちゆ》を求めてる傷や苦痛のなかで――あなたには、おごそかなる理想のなかで、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
も、そういう執拗《しつよう》なうるさい苦悶《くもん》には我慢しかねた。彼はそれを
治癒《ちゆ》してやるには自分があまり拙劣だと知っていた。実を言えば、彼は寛大な心....
「肝臓先生」より 著者:坂口安吾
のみを果すべきだ。粉骨砕身して治療に当り、病人の苦痛をやわらげ、一日もすみやかな
治癒にのみ腐心して、伊豆の辺地の何百人かの人々の手足となってあげることが大切なの....
「レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
er)に罹り、一事は心許ない容態であった。関節と肺とを冒されたのであった。幸いに
治癒したが、急に年を取ったように見えた。 Toftsの新居に実験室を造ろうと考....
「肉腫」より 著者:小酒井不木
だ私に向って御辞儀するだけであった。私は暫らくの間、どう返答してよいかに迷った。
治癒の見込のない患者を手術するのは医師としての良心に背くけれど、人間として考えて....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
は疵口の合いもすまいし痛みも去るまじ、じっとしていよ身体を使うな、仔細はなけれど
治癒るまでは万般要慎第一と云われたお医者様の言葉さえあるに、無理|圧しして感応寺....
「夢幻泡影」より 著者:外村繁
ものは、苦しみだけではないか。妻の神経痛は、脳軟化症同様心臓弁膜症に因るもので、
治癒の方法はないという。左手は利かず、足も不自由な、この妻が何のために生きなけれ....