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沽券
「沽券〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沽券の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
を低うすることになりはせぬか、なれなれしすぎはすまいか、こんなことをしては自分の
沽券《こけん》にかかわりはせぬか、などといった杞憂《きゆう》に阻まれてしまう。そ....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
なった。立て込んだ客の隙間《すきま》へ腰を割り込んで行くのも、北新地の売れっ妓の
沽券《こけん》に関《かか》わるほどではなかった。第一、そんな安物ばかり食わせどお....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
どなり声がする。 「さあさあ、出てけ出てけ。君みたいな芸なし猿に稼がれてちゃ、
沽券に係わるよ。|さあ、出ろ!」 皆さんは、よくこうした場面を映画でご覧になる....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
、どういう意味か解しかねるが、僕のような若輩から教えられた事をそのまま言うのは、
沽券にかかわると思って、とっさのうちに芝居の作用という珍奇な言葉を案出して叫んだ....
「惜別」より 著者:太宰治
会風に気取っているまちであった。要するに、自信も何も無いくせに東北地方第一という
沽券にこだわり、つんと澄ましているだけの「伊達のまち」のように自分には思われたの....
「天馬」より 著者:金史良
は玄竜とはU誌の会で一二度会ったきりで、そうこんな男に馴れ馴れしくされては自分の
沽券《こけん》に関ると考えるのだった。もともと彼は大学の法科を出ると共に朝鮮くん....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
私は言った。そして自分の元の場所へ戻った。彼等を見ていたのを見つけられては自分の
沽券にかかわるような気がしたからである。 「よしよし、奴らを来させろ、なあ、――....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
められない。」
「そのとおりだ。」と亭主も静かに口を添えた。「あんな男を泊めると
沽券《こけん》を落とすからね。」
その間に男は、腰掛けの上に包みと杖とを置き、....
「高尾ざんげ」より 著者:豊島与志雄
小松の菊千代といえば、相当に意気と張りとで立ったもう姐さん株でありましたが、その
沽券も崩れかけてきたようなひがみ心が、彼女自身のうちに芽を出しかけてきました。そ....
「地上」より 著者:島田清次郎
。何処にも人が空いていなかった。といってむやみに二流三流の家へ交渉することは家の
沽券がゆるさなかった。どうにかして、娼妓を三人見出すことが出来た。彼女はすぐに来....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
重ねながら、つい今しがたまでジノーヴィー・ボリースィチは、どうにか一家のあるじの
沽券をみずから慰めていたものだったが、とにかくその湯のあるおかげで、血のしみは跡....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
る以上、書画屋という商売にふさわしい見識を見せるのが、おまえさんの誉れにもなるし
沽券にもなる。ひとつおまえさんあれを一手に引き受けて遺作展覧会をやる気はありませ....
「入れ札」より 著者:菊池寛
ところが、国定村の忠次とも云われた貸元が、乾児の一人も連れずに、顔を出すことは、
沽券にかかわることだった。手頃の乾児を二三人連れて行くとしたら、一体誰を連れて行....
「お米の話」より 著者:北大路魯山人
ず、料理人は自分の苦労の足りなさを棚に上げて、飯を炊くということは、なにか自分の
沽券にかかわるもののごとく考えているらしい。浅ましい話だが、それでは先生はごはん....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
お客のお供をして二階でも通る時に花魁から表徳さんとでも声をかけられゝば強気と私も
沽券が宜しいじゃ有りませんか、だから師匠が往くなら後から従いて往ってサ、師匠から....