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「泡沫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泡沫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蠅男」より 著者:海野十三
が提供しようという蠅男の秘密を聞く機会を失ってしまって、遂にこれまでの苦労を水の泡沫と化してしまうのだろうか。 怪! 怪! 蠅男の正体! 玉屋本邸は、今....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
のである。これは明らかに、古い「※」の字の俗字であろう。南朝の詩人は「液体硬玉の泡沫」を熱烈に崇拝した跡が見えている。また帝王は、高官の者の勲功に対して上製の茶....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
れから四辺を見廻わした。青々と茂っている羊歯の間から矢車草の白い花が潮に浮かんだ泡沫のようにそこにもここにも見えているのも高原雀が幾百羽となく木の間を縫って翔け....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
の影が何であるかと言ったっても、 真相をそう簡単にはつくされぬ。 水面に現われた泡沫のような形相は、 やがてまた水底へ行方も知れず没する。 43 知は酒盃を....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。 武士は「わっ」と悲鳴を上げた。そうして畳へころがった。プーッと吹き出す血の泡沫が、松明の光で虹のように見えた。と、もうその時には葉之助は、ピタリ中段に付け....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
速いことは! 筏船は駸々《しんしん》と走って来る。歌のような帆鳴りの音がする。泡沫《しぶき》がパッパッと船首《へさき》から立つ。船尾《とも》から一筋|水脈《み....
天守物語」より 著者:泉鏡花
、陣羽織が流れるやら。大小をさしたものが、ちっとは雨にも濡れたが可い。慌てる紋は泡沫のよう。野袴の裾を端折って、灸のあとを出すのがある。おお、おかしい。(微笑む....
火葬国風景」より 著者:海野十三
に真直に下りてきては、身体の傍をスレスレに通りすぎるのだった。それもやがて、水の泡沫のように消え去ると、今度は大小さまざまのシャボン玉が、あっちからもこっちから....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
学士の方をだな、――無い御縁が凄じいや、てめえが勝手に人の縁を、頤にしゃぼん玉の泡沫を塗って、鼻の下を伸ばしながら横撫でに粧やあがる西洋|剃刀で切ったんじゃない....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
潮に逆って揉むせいで。 あせって銑さんのおした船が、がッきと当って杭に支えた。泡沫が飛んで、傾いた舷へ、ぞろりとかかって、さらさらと乱れたのは、一束の女の黒髪....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
うと巻いて、捲きながら乱るると見れば、計知られぬ高さから颯と大滝を揺落すように、泡沫とも、しぶきとも、粉とも、灰とも、針とも分かず、降埋める。 「あっ。」 私....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
にある浮き岩である。岩のくせに水に浮いている。そうして互いに衝突り合い、恐ろしい泡沫を揚げている。その泡沫は雪のように四辺の海を濛々と曇らせ、行く手をすっかり蔽....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
けりゃならない。いつ迄も小屋者でいるくらいなら、死んだ方が増じゃないか」 雨と泡沫で彼女の体は、漬けたように濡れてしまった。 「おや」 と彼女は顔を上げた。....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
来た。――(前刻友だちと浜へ出て見た、そういえば、沖合一里ばかりの処に、黒い波に泡沫を立てて、鮫が腹を赤く出していた、小さな汽船がそれなんです。)――日暮方の出....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の大円盤である。近くは深沈としたブリュウブラックの潮の面に擾乱する水あさぎと白の泡沫。その上を巨きな煙突の影のみが駛ってゆく。 北へ北へと進みつつある。 ハ....