波の穂[語句情報] » 波の穂

「波の穂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

波の穂の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
テンポを取って高くなり低くなりする黒い波濤《はとう》のかなたには、さらに黒ずんだ波の穂が果てしもなく連なっていた。船は思ったより激しく動揺していた。赤いガラスを....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
た。 陸地に近づくと波はなお怒る。鬣を風になびかして暴れる野馬のように、波頭は波の穂になり、波の穂は飛沫になり、飛沫はしぶきとくずれ込む。 その猛烈な力を感....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
とは不可能であった。 大音響は近づいて来た。 と、闇の中にシラジラと、砕ける波の穂頭が、物の怪のように見えて来た。大穴の周囲に岩があって、それへ水がぶつかる....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
りするわ」 それで二人は舟へ乗った。 湖上には微風が渡っていた。櫂で砕かれた波の穂が、鉛色に閃めいた。水禽が眼ざめて騒ぎ出した。 二人は嬉しく幸福であった....
現代美学の危機と映画理論」より 著者:中井正一
て常に現実は空白ではあり得ない。かえってそれは、さかまきどよもす土用波のように、波の穂を走らせながら、理論の前にそびえ立っている。ただ、理論が、それを貫いて、そ....
予言」より 著者:久生十蘭
た。 地中海へ入ると、急に温度が下った。海の形相がすっかり変って、三角波が白い波の穂を飛ばし、ミストラル気味の寒い尖った風が、四十日目の惰気をいっぺんに吹きは....