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波濤
「波濤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
波濤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ていた。が、山々の中から湧き上る声は、彼の悲喜には頓着なく、あたかも目に見えない
波濤のように、絶えまなく彼の上へ漲《みなぎ》って来た。
三十二
素戔嗚《す....
「或る女」より 著者:有島武郎
また落ちて行くなと思わしいころに、窓に近い舷《げん》にざあっとあたって砕けて行く
波濤《はとう》が、単調な底力のある震動を船室に与えて、船はかすかに横にかしいだ。....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
たるエネルギー(力)であります。しかしてエネルギーは太陽の光線にもあります。海の
波濤《なみ》にもあります。吹く風にもあります。噴火する火山にもあります。もしこれ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
いられなくなった。そして君はまっしぐらに労働生活のまっただ中に乗り出した。寒暑と
波濤と力わざと荒くれ男らとの交わりは君の筋骨と度胸とを鉄のように鍛え上げた。君は....
「地球盗難」より 著者:海野十三
いだした大隅学士は、この異風景の中に、呆然として立ちつくした。それはまるで千里の
波濤を越えて、異境に遊ぶの想いがあった。日本中を探しまわっても、恐らくこれほど風....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
に浮かぶ雲にことごとく暴風雨の前兆を見る。しかしながら、永遠に向かって押し寄せる
波濤のうねりの中に、喜びと美しさが存している。何ゆえにその心をくまないのであるか....
「恐竜島」より 著者:海野十三
うでもあろう。こわいとか危険だとか恐ろしいとかいっているものの、万里《ばんり》の
波濤《はとう》をのりこえて恐竜探検にここまでやってきた一行のことであるから、一刻....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
だ。あの一点の光がそれだ。お前たちも見ないか。 舞台転ず。しばし暗黒、寂寞として
波濤の音聞ゆ。やがて一個、花白く葉の青き蓮華燈籠、漂々として波に漾えるがごとく顕....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
東洋人 まっ暗な南シナ海の夜であった。 文明の怪物ともいうべき飛行島は、いま
波濤を蹴って、南へ南へと移動してゆく。 飛行島の前後左右は、それをまもる艦艇が....
「古狢」より 著者:泉鏡花
も、町の中央の城と向合った正面とは違い、場末のこの辺は、麓の迫る裾になり、遠山は
波濤のごとく累っても、奥は時雨の濃い雲の、次第に霧に薄くなって、眉は迫った、すす....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
味方は巧妙に舟を操って、あるいは水煙の中に隠れ、滝津瀬のようなとどろきを上げる、
波濤の谷底を選り進んでは、軍船に近づくまで、いっこうに姿を現わさなかった。 そ....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
この部落の、それこそ旧幕時代から経済の中心をなしていた古谷傅兵衛など、その大きな
波濤を全身で浴びて立っている一つだった。 傅兵衛の店舗は、周囲五里余の山腹の村....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
在留僧釈梅仙を請じて慇ろに読経供養し、月白く露深き丘の上に遥かに印度洋の※鞳たる
波濤を聞きつつ薪を組上げて荼毘に附した。一代の詩人の不幸なる最後にふさわしい極め....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
に逆行して進む。ゆえに船少しく旋動す。 風払竜是北濠。 (風は船の煙を吹き払って
波濤を破るようにすすみ、珊瑚の島の外を汽笛も高く行く。岸のあたり一帯は山々が続き....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
ろを結構とする私のこころはこうでありました。若し、秀抜な山のたたずまいや、雄渾な
波濤の海を眺めやったなら、それを讃嘆する心の興奮に伴って、さすがに埋め尽した積り....