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波頭
「波頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
波頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
えたと思うと、船はよんどころなさそうに、右に左に揺らぎながら、船首を高くもたげて
波頭を切り開き切り開き、狂いあばれる波打ちぎわから離れて行く。最後の高いののしり....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
たように堆い水面は、おなじ色に空に連って居る。浪打際は綿をば束ねたような白い波、
波頭に泡を立てて、どうと寄せては、ざっと、おうように、重々しゅう、飜ると、ひたひ....
「海底大陸」より 著者:海野十三
ちの方におしだしてきたものと見える。風がひゅうひゅうと鳴りだし、海はしだいに白く
波頭をたてて荒れはじめた。三千夫少年には、不幸中の幸いだった。もう一刻、すくわれ....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
くなって、わたし達の立っているデッキから三十メートル真下の岩鼻に、眩暈のしそうな
波頭がパッパッと白く噛み砕ける。 「ずいぶん高いね」と東屋氏が言った。 「これだ....
「恐竜島」より 著者:海野十三
ゆすぶった。帆柱《ほばしら》がぎいぎいと悲鳴をあげた。 筏は急にゆれはじめた。
波頭《はとう》がのこぎりの歯のようにたってきた。 ぽつ、ぽつ、ぽつ。大粒の雨が....
「怪塔王」より 著者:海野十三
うっと落ちていく機体の前に、下からむくむくともりあがるように上って来たのは、白い
波頭をふりたてて怒っている大海原でありました。まるでガラスの棒のような雨は、海面....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
いるところを叩かれる身はつらいことであった。 そうこうしているうちに、海は白い
波頭を見せて荒れてきた。ぽつり、ぽつりとおちてくる大粒の雨! やがてあたりは真....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
ているので、大変早く夕闇が翼を伸ばしはじめました。夕日のなごりが空の一部を染め、
波頭を赤々と照らしたと見る間もなく、忽ち光は褪せて、黒々とした闇が海と空とを包ん....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
どこへやら潮気をふくんだ夜風が、刃物のように冷たい。 風がつのってきたらしく、
波頭が白く光る。それがわが潜水艦ホ型十三号の艦橋に立つ当直下士官の眼にも、はっき....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
近づくと斉しく、波はざッと鳴った。 女優の船頭は棹を落した。 あれあれ、その
波頭がたちまち船底を噛むかとすれば、傾く船に三人が声を殺した。途端に二三尺あとへ....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
する約百二十戸ばかりの部落の、いわばこの地方の物資の小集散地であった中郷にもその
波頭は用捨なくやって来て、ことにこの部落の、それこそ旧幕時代から経済の中心をなし....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
さえて、九州の青年の多くが、その青雲を志し成功を夢みて、奔流する水道を、白波たつ
波頭を蹴散らし蹴散らし、いささかのセンチを目に浮べて、悲喜交々、闘志を抱いて渡る....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
げて言った。 「……これは、美術閣の柴山運八と、その子の運五郎とが鋳たんだよ。」
波頭、雲の層、累る蓮華か、象徴った台座の巌を見定める隙もなしに、声とともに羽織の....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
されると詠じよう。) 八日、晴れ。高浪暁天にみなぎり、一望凄然たり。ただ海鵝の
波頭に舞うを見るのみ。今日食卓にワクをはむるも、なお器物転倒を免れず。甲板上には....
「黒い旗物語」より 著者:小川未明
で沖を見渡しても、一つの帆影も、また一条の煙の跡も見ることがなかったのです。ただ
波頭が白く見えるかと思うと消えたりして、渺茫とした海原を幾百|万の白いうさぎの群....