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「泣きべそ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泣きべその前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
降りて改札口を出ると、構内はがらんとして誰も居りませぬ。ああ、やはり駄目だ。私は泣きべそかきました。駅は田畑の真中に在って、三島の町の灯さえ見えず、どちらを見廻....
グッド・バイ」より 著者:太宰治
は結構だが、いったい、お前には、女が幾人あるんだい?」 変心 (二) 田島は、泣きべその顔になる。思えば、思うほど、自分ひとりの力では、到底、処理の仕様が無い....
女生徒」より 著者:太宰治
思った。 自分から、本を読むということを取ってしまったら、この経験の無い私は、泣きべそをかくことだろう。それほど私は、本に書かれてある事に頼っている。一つの本....
風の便り」より 著者:太宰治
らすような具合いのよい二、三の人を愛しているだけじゃないか。もっと言おうか。君は泣きべそを掻《か》くぜ。「汝ら、見られんために己《おの》が義を人の前にて行わぬよ....
乞食学生」より 著者:太宰治
しろよ。」にこりともせず、落ちついた口調で言ったのである。 熊本君は、もう既に泣きべそを掻《か》いて、 「そんなに軽蔑しなくてもいいじゃないですか。僕だって、....
虚構の春」より 著者:太宰治
と嗄《しわが》れた声で主張いたしました。そのとき、高橋の顔に、三歳くらいの童子の泣きべそに似た表情が一瞬ぱっと開くより早く消えうせた。『まるで気違いみたいだろう....
女の決闘」より 著者:太宰治
てこう突然に、失敬な、いまわしい決闘の申込状やら、また四十を越した立派な男子が、泣きべそをかいて私の部屋にとびこんで来たり、まるで、私ひとりがひどい罪人であるか....
おさん」より 著者:太宰治
したのでしょう。空巣《あきす》にはいられたのかしら。」 「売ったんだ。」 夫は泣きべそに似た笑い顔をつくって、そう言いました。 私は、ぎょっとしましたが、し....
おしゃれ童子」より 著者:太宰治
くほどの外套を着ながら、流石《さすが》に孤独|寂寥《せきりょう》の感に堪えかね、泣きべそかいてしまいました。お洒落ではあっても、心は弱い少年だったのです。とうと....
作家の手帖」より 著者:太宰治
と曲馬団の者が呶鳴る。わあと言って退却する。実に、たのしそうなのである。私は、泣きべそかいて馬を見ている。あの悪童たちが、うらやましくて、うらやましくて、自分....
斜陽」より 著者:太宰治
聴しているのだ。隊員の中には、国民学校の男生徒女生徒もまじっていて、みな寒そうな泣きべその顔をしていた。雨は私のレインコートをとおして、上衣にしみて来て、やがて....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
いか。なるほど前にも鳥渡書きましたなあ。 「泣くなよ、醤。お前は小便小僧時代から泣きべそじゃったな。東に楠の泣き男あり、西に醤買石ありで、ともに泣きの一手で名を....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
れば、順番にやられるのであろう。 「アア、マニ妙光。マニ妙光」 雑念が起ると、泣きべそをかく。たゞもう夢中に祈るほかには手がなかった。 一方、こちらは取り残....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
。まるで女学生のように直感的でセンチである。 「だらしがない!」 まったくだ。泣きべそかいているじゃないか。ともかく学問を身につけた人間が、論理的なところを皆....
真珠の首飾り」より 著者:神西清
ですよ。僕はこの手紙をうけ取って、一読おもわず呵々大笑しましたね。……一体なんの泣きべそかくことがあるんです? 僕のさがしていたのは持参金じゃなく、またそれが欲....