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「泣き笑い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泣き笑いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
つけ加えました。 「しかしもう消し止めました。」 ゲエルは給仕を見送りながら、泣き笑いに近い表情をしました。僕はこういう顔を見ると、いつかこの硝子《ガラス》会....
片恋」より 著者:芥川竜之介
どうせ何でもそうしたもんね。」 これだけ聞くと、大に悟っているらしいが、お徳は泣き笑いをしながら、僕にいや味でも云うような調子で、こう云うんだ。あいつは悪くす....
男女同権」より 著者:太宰治
那とか色男とか言われた手前もあり、もう、どうしたらいいか、表面は何とかごまかし、泣き笑いして帰りましたが、途中で足駄の横緒《よこお》を踏み切って、雨の中をはだし....
放浪」より 著者:織田作之助
げらげら笑っていた。眼尻というより眼全体が斜めに下っていて、笑えば愛敬よく、また泣き笑いにも見られた。背が順平よりも低く、顔色も悪かった。頼りない男であったが、....
親子」より 著者:有島武郎
うするのか」 明らかと怒号だった。彼はむしろ呆気に取られて思わず父の顔を見た。泣き笑いと怒りと入れ交ったような口惜しげな父の眼も烈しく彼を見込んでいた。そして....
蠅男」より 著者:海野十三
ちてきた。 「まあ、帆村さん、貴郎ってかたは……」 と、看護婦が泪を払いつつ、泣き笑いの態で帆村の身体を抱き起した。 「いや大したことはない」と帆村は青い顔に....
惜別」より 著者:太宰治
は、あまり見かけないようだが、私の講義に出た事がありますか。」 「はあ、」と私は泣き笑いの表情で、「あの、これから。」 「新入生ですね。まあ、みんな、はげまし合....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
の菌を酢のものにして味わう場合に、唯一つのなくてかなわぬものである。 山茶花は泣き笑いをしている。十一月末のいじけ切った植込みのなかに立って、白に、薄紅に、寂....
博物誌」より 著者:岸田国士
ュウはぬくぬくと暖まり、毛を焦がし、尻を焼きながら、唸りたいのを我慢して、じっと泣き笑いをしている――眼にいっぱい涙を溜めたまま……。 La Vache これ....
決闘」より 著者:神西清
リーリンが何か書いたのじゃないかしら』と彼女は考えた。 「何でもないんだ……」と泣き笑いをしながらラエーフスキイが言った、「向うへ行っておいで……いい子だから。....
噴水物語」より 著者:岡本かの子
へ排する癖があった。 だんだん会談に疲れたか、氏は「科学は情熱だからね」と殆ど泣き笑いとでもいうべき語調を床にいる夫人の方へ投げかけた。夫人は素知らぬ顔で水量....
呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
瓜実顔に眉が濃く迫っている美人で、涙っぽい膨れ目は艶ではあるが、どんな笑い顔をも泣き笑いの表情にして、それで平生は無難なまとまった顔立ちでも単純だった。たとえ、....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
し自分ながらおかしくなってクスクスと笑い出した。 すると、島村も袂で顔を隠して泣き笑いをしている。その笑いがしばらく続くと、島村は、 「おかしいな、菊子さん、....
女房ども」より 著者:神西清
かも聞えました。彼はわが家へ駈け込むと、一分ほど後にはクージカを抱いて出て来て、泣き笑いをしています。クージカにキスをしながら、眼は乾草棚へ行っています。クージ....
放浪」より 著者:織田作之助
げら/\笑っていた。眼尻というより眼全体が斜めに下っていて、笑えば愛敬よく、また泣き笑いにも見られた。背が順平よりも低く、顔色も悪かった。頼りない兄であったが、....