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泣言
「泣言〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泣言の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
銀は卑しきものとて手にも触れず、仮初《かりそめ》にも物の直段《ねだん》を知らず、
泣言《なきごと》を言はず、まことに公家大名《くげだいみょう》の息女《そくじょ》の....
「浚渫船」より 著者:葉山嘉樹
ろうと云う積りかい?」 と、セコンドメイトは、私に訊いた。 「篦棒奴。愚図愚図
泣言を云うない。俺にゃ覚悟が出来てるんだ。手前の方から喧嘩を吹っかけたんじゃねえ....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
ですから倹約出来るだけ仕ないと大変ですよ。お徳が朝から晩まで炭が要る炭が高価いて
泣言ばかり言うのも無理はありませんわ」 「だって炭を倹約して風邪でも引ちゃ何もな....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
と言う。いやになってしまう。やむを得ずハガキにした。またさびしいさびしいと言って
泣言を書き立てているね。検閲をするお役人に笑われるよ。 手紙はできるだけ隔日に....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
があるとするなら、それはトム・レッドルース爺さんだった。彼はただぶつぶつ言ったり
泣言を並べたりするだけだった。猟場番人の下働はだれでも喜んでレッドルースと地位を....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いものだ。じぶんで詩人になってみたいものだ。わたしなら、むろん、あの連中のように
泣言をならべはしないぞ……ああ、詩人にとってなんてすばらしい春だろう。あんなにも....
「白日夢」より 著者:豊島与志雄
人をさんざん待たせといて、一人で先に帰ってゆくってことがあるものかと、そんな風な
泣言を並べながら、彼女が立止って振向いたのをちらっと見ると、それは一面識もないよ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
お断りだわ。」 「お姉さまの意地悪!」と、一層新子の胸に、顔を埋めて、甘ったるい
泣言を云い始めた。 「美沢さんなんてエ、駄目なの。美和子、酔っちゃったから、ほん....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
あったから、同業者は内実みな赤字となって困難した。それでも世間一般好景気の手前、
泣言もいえぬという有様であった。 しかしその赤字は停戦となって物価急落後の一年....
「地上」より 著者:島田清次郎
しそれが深井の口から話されなかったなら、「うるさいな、女のくさったような女々しい
泣言は僕は大嫌いだ」と言いすてたかもしれない。しかし愛する少年の花弁のように美し....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
態を語り、自分のあけすけな意見を信仰問題についてさえ開陳して憚らなかった。愚痴や
泣言の類も少いどころではない。自分の日常の動静に至っては、彼の報告は驚くほど精細....
「翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
し、今さら何の繰言ぞやである。 とばかりも言っておられまいから、些《いささ》か
泣言を並べることにする。飜訳をしながら先《ま》ず何よりも苦々しく思うのは、現代日....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
の時分即ち本所時代の緑雨はなかなか紳士であった。貧乏咄をして小遣銭にも困るような
泣言を能くいっていても、いつでもゾロリとした常綺羅で、困ってるような気振は少しも....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
雨の多い所で、その翌日も大降りですけれども、ここに泊って居る必要がないから下僕の
泣言をいうに拘わらず午前五時頃大雨を冒して出掛け、今度は凄いような森の中へ掛りま....
「それから」より 著者:夏目漱石
》ろうと云わなかった。代助も三千代が気の毒だとか、可哀想《かわいそう》だとか云う
泣言は、なるべく避ける様にした。自分が三千代に対してこそ、そう云う心持もあるが、....