泣顔[語句情報] »
泣顔
「泣顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泣顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
た。女ながらに気性の勝《すぐ》れて強いお前たちの母上は、私と二人だけいる場合でも
泣顔などは見せた事がないといってもいい位だったのに、その時の涙は拭くあとからあと....
「大島が出来る話」より 著者:菊池寛
。 彼は直ぐ奥の離れへ行った。紫色の御召を着た令嬢の雪子さんと、瑠璃子さんが、
泣顔を上げて譲吉の顔をチラリと見た。 何時もは、此の二人の令嬢を、世の中で最も....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
。 「やっぱりあなたのおっしゃった通りでしたわ。」 礼ちゃんはすっかりやつれて
泣顔をしながらも、それでもいつもの生々としたはっきりした声で話しだした。 「私こ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
。すると、真佐子は思いがけなく、くるりと向き直って、再び復一と睨み合った。少女の
泣顔の中から狡るそうな笑顔が無花果の尖のように肉色に笑み破れた。 「女らしくなれ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
き、右の手の拳で額を叩きながら、「や、くさらせるぞ」と息を吐いてる暇に、洗面所で
泣顔を直したらしく、今度入って来たときの雛妓は再びあでやかな顔になっていた。座に....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
が宜しゅうございましょう」 相「ウンそうだ、初めて逢うのに無理にめんめを覚さして
泣顔ではいかんから、だが大概にしてこゝへ連れて抱いて来い」 娘お徳は次の間に乳....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
ほどぶつかったばかりだった。 「失敗った。どうしよう」 川北先生の顔は、子供の
泣顔のようにゆがんでいた。 「窓をあけて、追いかけましょう。間にあうかもしれない....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
は意外な結果に呆れて、皆なの居るところへ急いで行って見た。そこには母親に取縋って
泣顔を埋めているおさだを見た。 「ナニ、何でもないぞや。俺の手が少し狂ったかも知....
「小公女」より 著者:菊池寛
ちゃんになってあげてよ。あなたは私の娘、エミリイはあなたの妹よ。」 ロッティの
泣顔に、えくぼが湧いて来ました。 「ほんと?」 「ええ」セエラは飛び起きました。....
「神サマを生んだ人々」より 著者:坂口安吾
うだい。席を改めて芸者をよぼう」 「それは、いけません。今日は土曜日、二時間前の
泣顔を忘れましたね。一通りお料理がすむと当店の女主人がサービスに現れましょうから....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
秘密くさいものではなかった。ニコリともしない毎日の病床生活や激痛の呻吟にゆがんだ
泣顔を見なれているから、彼としてはむしろ珍しく生き生きした声であった。良からぬこ....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
ねえから、早く裸体になって置いて行きな、出さねえでじたばたすると殺してしまうぞ、
泣顔するねえ」 と云いながら閃りッと長いのを引こ抜いて、ずぶりッと草原へ突立て....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
。……貴女は女無理して歩いて、さて旅籠へ着いてから、ソレ按摩じゃ、ヤレ灸じゃと、
泣顔をして騒がれても、拙者決して取り合いませぬぞ」 「貴郎様こそ旅籠に着かれてか....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
お仙と奴との話し声がまだ聞えるので、お菊は急に起って懐ろ鏡を取出した。鏡にうつる
泣顔を直して、彼女も台所へ出てゆくと、権次も権六も春の日に光る銀の毛抜で鎌髭を悠....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
しいとも悲しいとも、云おうようはござらぬのう。 綾の局 まだうら若い上※たちは、
泣顔かくす化粧して、ゆききの人になさけを売り、とにもかくにも日を送れど、盛りを過....