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泥中
「泥中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
手合せた、とたん、首筋の御手のちから加わりて、また、また、五百何十回めかの沈下、
泥中の亀の子のお家来になりに沈んでゆきます。身を捨ててこそ浮ぶ瀬あるものでして、....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
情なさである。自分が雨中を奔走するのはあえて苦痛とは思わないが、牛が雨を浴みつつ
泥中に立っているのを見ては、言語にいえない切なさを感ずるのである。 若い衆は代....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
中に消えてしまったのだ。 女だ。あくまで人間であって外の生き物ではない。しかし
泥中で生き水底で呼吸のできる、人間というのがあるべき訳はない。と、半ば信じ半ば疑....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
》く時言語全く平生に異なり荐《しき》りに水に入らんと欲し、河底を潜り上って※同然
泥中に平臥するがごとし(レオナード著『下《ラワー》ニゲル|およびその民俗篇《エン....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
、一週に一度出て、信徒が献じた山羊児や鶏を啖《くら》い、さて堀に入りて水を飲み、
泥中に転び廻りついに窟に返る。その泥上に印した跡より推さば、この蛇身長に比して非....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
て熱くなって吼《ほ》ゆる事獅子に同じ。飲んで飲みまくった揚句《あげく》は、ついに
泥中に転《ころ》げ廻ってその穢を知らず、宛然《さながら》猪の所作をする。葡萄の根....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
、しかしその宝玉もまた、本物の玉でなくガラス玉であるところの卑近なる宝玉であり、
泥中の蓮でもある。 ガラス絵のよきものを探す興味はすなわち
泥中に蓮を求める興味....
「霧の中」より 著者:豊島与志雄
った。夜の川ほど神秘に満ちてるものはない。浅瀬があり、深い淵があり、洞窟があり、
泥中のもの、陸上のもの、水中のもの、更に闇夜のものなど、あらゆるものがうろついて....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
「前へ!」と叫ぶ、そしてたちまちのうちに小童《こわっぱ》から巨人となる。
この
泥中の少年は、また理想中の少年である。モリエールからバラに至るまでのその翼の長さ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
霜や霰《あられ》や雨などから救い、冬の朔風《きたかぜ》からまもり、熱を起こさせる
泥中《でいちゅう》の睡眠から防ぎ、死を招く雪中の睡眠から防ぐの用に立った。社会か....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
距離で定めるのであった。前進は遅々として困難だった。下降用の梯子《はしご》が底の
泥中《でいちゅう》に三尺も没することは珍しくなかった。角灯はガスのためによく燃え....
「崖下の池」より 著者:豊島与志雄
なく、真鯉が三尾、あとは小さな鮒や鮠のたぐいでした。昼食に一休みして、午後は底の
泥中から塵芥を取り除くことになりましたが、その時に、沢山のエビカニや若干の鰻や泥....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
いで日の下に鳴き、常に百尺の松梢《しょうしょう》に住んで世の塵《ちり》をうけぬ。
泥中に潜《せん》してしかも瑞々《ずいずい》。濁りに染まぬ亀を屈《くつ》の極といた....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
で飛び上って対うの岸へ着きました。それから博士と共に博士の馬を渡す道造りに大石を
泥中に沢山|擲げました。およそ三、四時間土木業をやってようやくの事で自分らと博士....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
に染まないように、その心身を自由に、大きく、かつしっかりさせるのです。ちょうど「
泥中の蓮の花」のように、雑多な野心や誘惑や愛欲の真只中に生活しながらもその汚れに....