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泥人形
「泥人形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥人形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いのちの初夜」より 著者:北条民雄
いだった。どれもこれも癩《くず》れかかった人々ばかりで人間というよりは呼吸のある
泥人形であった。頭や腕に巻いている繃帯も、電光のためか、黒黄色く膿汁がしみ出てい....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
ん這いになった。 仕事につく前に、皆が工場に降りて行って、片隅に溜った。どれも
泥人形のような顔をしている。 「俺ア仕事サボるんだ。出来ねえ」――炭山だった。 ....
「中西氏に答う」より 著者:平林初之輔
々」を意味するのだと獨斷し、この獨斷を僕に無雜作になすりつけて、なすりつけられた
泥人形の「平林」に向つて「平林君は果してその人々を指してごろつきと言い食い倒しと....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
泥づくりの牛が必死に闘いながら海へ入って了う、それが此世の様だと申居った。泥牛、
泥人形、みんな泥牛、
泥人形。世間一体を良くしようなどと心底から思うものが何処にご....
「雨滴」より 著者:宮本百合子
美くしさで充分飾られて居なければならない。 其故に私は、玩具を好み、すこやかな
泥人形などに思をよせて居る。 まるで、異った事の様であるが、人をいましめる時に....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
まぎらしてつぶやき出したのを聞けば、
「おお、コレコレ与吉、松島みやげにたくさん
泥人形を仕入れて参ったな。だが、惜しむらくはどれもこれも不細工、ウフフフフ都では....
「白痴」より 著者:坂口安吾
胸にまるで違った真実をこめ鋭いそして巨大な力で食いこんでくる。ああ日本は敗ける。
泥人形のくずれるように同胞たちがバタバタ倒れ、吹きあげるコンクリートや煉瓦の屑と....
「明日」より 著者:井上紅梅
大悲呪を焼き、納棺の時にはごく新しい晴れ著を著せ、ふだん好きなおもちゃを添え――
泥人形一つ、小さな木碗二つ、ガラス瓶二本――枕辺に置いた。あとで王九媽が指折り数....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
るようにサッと前後へ剥がした。その下から、白い頭蓋骨が、まるで彩色をしてない白い
泥人形の頭のようにまるまると現れてきた。とたんに僕は気が強くなった。 メスをさ....
「特攻隊に捧ぐ」より 著者:坂口安吾
方がない。特攻隊よりも遥にみじめに、あの平野、あの海辺、あのジャングルに、まるで
泥人形のようにバタバタ死んだ何百万の兵隊があるのだ。戦争は呪うべし、憎むべし。再....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
」
益満は、庭へ出た。
「闇だの、小太」
と、振向いて、すぐ、歩いて行った。
泥人形
常磐津富士春は、常磐津のほか、流行唄も教えていた。
襖を開けた次の....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
んしろ……」 皆に聞えるように、わざと声を高めた。 兵隊は歩きづらい砂地を、
泥人形のような無恰好さで、ザクザク歩き出した。だまりこくって、空虚に眼を前方の一....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
島に隠棲してから後、第二博覧会の時、工芸館へ出品した伏見焼のような姉様や七福神の
泥人形であって、一個二十五銭の札を附けた数十個が一つ残らず売れてしまった。伏見人....
「三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
に終った。麻酔剤によって仮死の状態に置かれてある人体は、首を切断されたまま、恰も
泥人形の首が※げたように、何うしてももう附着しなかった。両方の切口には、赤黒い血....
「風の寒い世の中へ」より 著者:小川未明
家の前へくると、その家をのぞいて声をかけたのです。その家は、店さきに、いろいろの
泥人形を並べていました。家の中から、おじいさんが顔を出しました。すると、子供は、....