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泥棒猫
「泥棒猫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥棒猫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
フメートとの事を思い出して、きっとよからぬ予感に襲われたのだろう。 「それゃ君、
泥棒猫だからさ」と小倉がひょうきんに答えた。彼は人に落胆させまいとして、いつでも....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
吉、表から帰って来る。兄が大根を食っているのを見つける) 甚吉 何するだ! この
泥棒猫め! (兄の襟筋を掴み引きずり出す) 甚兵衛 (やや愚鈍らしく)われこそ何....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
持たずに遊ぶ者は盗人も同じ事だって。あのかたの事を台所でおさかなをくわえて逃げる
泥棒猫にたとえました。 浅香 まあひどいことを。 かえで 私はあまり腹が立ちまし....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
もんだ!」と、独言した。 網さばきをやりながら、漁夫がそれを見ていた。「何んだ
泥棒猫! チエンでも切れて、野郎の頭さたたき落ちればえんだ」 監督は仕事をして....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
アい!」 ピョンとひとつとんぼ返りを打ったチョビ安、大道に四つんばいになって、
泥棒猫のかっこうよろしく、おかしなようすでしきりにお美夜ちゃんの足もとをはいまわ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
、私の背をはげしく突き飛ばすと閉ざした家へはいってしまった。又おこっている。私は
泥棒猫のように台所から部屋へはいると、夫はいきなり束子《たわし》や茶碗を私の胸に....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
奴こそお尋者のカワカミではないかと思い、いざといえば相手の上におどりかかろうと、
泥棒猫のような変な恰好ですれちがうのであった。 いや、こっちが向こうを狙ってい....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
きわめをつけた門之丞。
それからすぐ、萩乃のいる奥棟へしのびこんで、長い廊下を
泥棒猫よろしく、かねてここぞと当たりをつけてある萩乃の寝部屋の前。
この夜ふけ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ただけで帰って来ないの、物ほしそうな顔をして、そんな大金を貰って来るの、まるで、
泥棒猫が、投げてくれた魚の骨に味をしめて、ノコノコお座敷へ上り込んで行くような恰....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
突くと閉ざした家へはしってしまった。 「オイ! 鍵を投げろッ!」 又か……私は
泥棒猫のように、台所からはいると、男はいきなり、たわしや茶碗を私の胸に投げつける....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
面へなすりつけ、竈の側やら、板の間やらへ猫の足跡とそっくりの型をつけ、あたかも、
泥棒猫が忍び込んだというような趣向にした後で、私は鼠入らずの刺身のお皿を取り出し....
「おせん」より 著者:邦枝完二
んだえ、いまのあの音は。――」 「さァ、何んでござんしょう。おおかた金魚を狙う、
泥棒猫かも知れませんよ」 「そんならいいが、あたしゃまたおまえが転びでもしたんじ....
「どろぼう猫」より 著者:海若藍平
お天気のいい日に斑猫が縁側に坐ってしきりに顔を撫で廻しておりました。この猫は鼠を一匹も捕らぬくせに
泥棒猫で、近所から嫌われていましたが、「ニャーニャーゴロゴロ」とおべっかを使うの....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
きな青痣《あおあざ》ができましたわ。 二人が料理場を出て行きますと、あたしは、
泥棒猫のように、地べたに腹を擦《す》りながら勝手口から逃げ出した。こんなやるせな....
「どら猫観察記」より 著者:柳田国男
得る見込の確かにあるのも居た。 それ等が悉くすぐに大きくなって、手の付けられぬ
泥棒猫になってしまい、そうして又次の子を育てるのである。余り毛色がよく似て居る為....