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「泥深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泥深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩を返す話」より 著者:菊池寛
天草灘の波濤が城壁の根を洗っている上に、大手には多くの丘陵が起伏して、その間に、泥深い沼沢が散在した。 板倉内膳正は、十二月十日の城攻めに、手痛き一揆の逆襲を....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
な浅手で命にかかわるようなことはなかったが、池へころげ落ちた時に、長太郎は運悪く泥深いところへ顔を突っ込んだので、そのまま息が止まってしまった。勇吉は半死半生の....
田舎教師」より 著者:田山花袋
ったいどこだな」 「そら、あの西の勘三さんの田ン中の掘切で死ねていたんだッてよ。泥深い中に体が半分突っささったまま、首イこうたれてつめたくなったんだッてよ」 「....
足迹」より 著者:徳田秋声
塗り立てて出た。 帰りに衆は上野をぶらぶらした。池には蓮がすっかり枯れて、舟で泥深い根を掘り返している男などがあった。森もやや黄ばみかけて、日射が目眩しいくら....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
こから、左へ曲って、高原の方へ傾斜地を登り始めた。 初めのうちは、ねとねとした泥深い地面と、こんがらかっている沼地の植物とのために、進むのがなかなか捗らなかっ....
特殊部落の犯罪」より 著者:豊島与志雄
没したばかりのだだ白い明るみだった。 家のすぐ前に、竹藪の下から湧き出る水が、泥深い池を拵えていた。その向う岸に、笹の間から椿の枝が伸び出して、黝ずんだ堅い実....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
墓穴のように花崗岩の蓋がされて中の者に死者と生者との違いがあるのみのその石の箱、泥深いその地面、その厠《かわや》の穴、水のしたたるその壁、それらを云々することが....
奥の海」より 著者:久生十蘭
の冬の船溜《ふなだまり》になっている。夏は霧がかかり、秋は十月から雪が降り、沼の泥深いところに鹿や熊がいる。情けない土地柄だということだったが、来てみると※瑰《....
肌色の月」より 著者:久生十蘭
。 壁付灯の光に照らしだされた大池の正体は、意外にもみじめなものだった。湖岸の泥深いところを歩きまわったのだとみえ、膝から下が泥だらけになり、靴にアオミドロが....