泥炭[語句情報] » 泥炭

「泥炭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泥炭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
永日小品」より 著者:夏目漱石
で来ると、今まで鼠色《ねずみいろ》に見えた世界が、突然と四方からばったり暮れた。泥炭《ピート》を溶《と》いて濃く、身の周囲《まわり》に流したように、黒い色に染め....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
にまざまざと残っている一枚がある。それは八号の風景にかかれたもので、軽川あたりの泥炭地を写したと覚しい晩秋の風景画だった。荒涼と見渡す限りに連なった地平線の低い....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
漠たる草地一面|霜枯れて、六尺もある虎杖が黄葉美しく此処其処に立って居る。所謂|泥炭地である。車内の客は何れも惜しいものだと舌鼓うつ。 余放吟して曰く、 泥....
光と風と夢」より 著者:中島敦
この植付にかかりっきり。みんな泥まみれになり、ヴェランダは愛蘭土《アイルランド》泥炭沼の如し。ココアは始めココア樹の葉で編んだ籠《かご》に蒔《ま》く。十人の土人....
石狩川」より 著者:本庄陸男
ず》れ、――積みあげ積み重ねた数えきれないほどの春夏秋冬が、踏めば沈むような低位泥炭土をつくっていた。水はその土の隙間《すきま》をとおって散らばり、随法なところ....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
らの国で自然の慈母の慈愛が案外に欠乏していることであった。洪積期の遺物と見られる泥炭地や砂地や、さもなければはげた岩山の多いのに驚いたことであったが、また一方で....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
観念がこもっていて、しかもそれが荒削りの状態のままですぐに変形させられています。泥炭《でいたん》坑の上に鬼火が燃えてるようなものです……。そして彼は実に不思議な....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
る野心、また崩壊によって何かの結果を望む者、なお最下層にあっては、火に燃えやすい泥炭《でいたん》ともいうべき下層の群集、それらがすなわち暴動の要素である。 最....
レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
来た時は護衛の警官が十二人もついて来たりした。スコットランドへ旅行して鳶色をした泥炭地の河水の泡に興味を感じて色々実験をしたのもこの時代のことであった。 家産....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
は今馬力をかけたものと見えて、汽鑵車はちょうど巨人の喘ぐように、大きな音を立てて泥炭の煙を吐きながら渋谷の方へ進んで行く、高谷の乗っている室がちょうど遠方シグナ....
姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
るとは考えられないと思う。 それに、川底に転積する玉石も小さい。また岸の崖に、泥炭の層が露出していた。鮎は、炭粉をことのほか嫌うのである。磐城の国には、幾本も....
不在地主」より 著者:小林多喜二
つ払下げてしまっていた。「入地百姓――移民百姓」は、だから呉れるにも貰い手のない泥炭地の多い釧路、根室の方面だけに限られている。 「開墾補助費」が三百円位出るに....
利尻山とその植物」より 著者:牧野富太郎
宮部博士と、加藤子爵とそれから子爵の随行の吉川真水という人と、幌向《ホロムイ》の泥炭《でいたん》地に採収を試みた、この日は山草家の木下友三郎君も同行せられること....
漁師」より 著者:マクラウドフィオナ
シェーン婆さんは青々した草原の向うのほそい流れで馬鈴薯の皮むきに使う板を洗うとやがて自分の小舎に帰って来て泥炭の火の前に腰を下ろした。 婆さんはもうひどく年をとっていた。それに、真夏の....
ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
小屋を建てたりすることを、お許しねがいたいものだね。 アーストロフ ストーブなら泥炭を焚けばいいし、小屋なら石で造ればいいじゃないか。もっとも、必要とあらば、木....