泥臭い[語句情報] »
泥臭い
「泥臭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥臭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「家庭の幸福」より 著者:太宰治
、君の立場の実情を言え! 君の立場の実情を。……」 そのような、頗《すこぶ》る
泥臭い面罵《めんば》の言葉が、とめどなく、いくらでも、つぎつぎと胸に浮び、われな....
「十五年間」より 著者:太宰治
活の出発になったのであるが、それが意外の反響を呼んだので、それまで私の津軽訛りの
泥臭い文章をていねいに直して下さっていた井伏さんは驚き、「そんな、評判なんかにな....
「野狐」より 著者:田中英光
ている。化粧すれば、そうみっともない女でもなかったが、素顔の時は呆れるほど平凡な
泥臭い百姓の娘さんだった。けれども、その疲労を知らぬ、太股に薄い縞模様のある肉体....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
は一方しか無いので、釣瓶縄の一端を屋根の柱に結わえてある。汲み上げた水が恐ろしく
泥臭いのも尤、錨を下ろして見たら、渇水の折からでもあろうが、水深が一尺とはなかっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《さわ》って山下を歩きながら考えました。 取るに足らぬ安直な芸術とはいえ、あの
泥臭い上方芸が、江戸前をのさばるということがすでに天下大乱の兆《きざし》だ―― ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、なあに、大名であろうと何であろうと、田舎者《いなかもの》は田舎者だ、遊び方が
泥臭い――というような冷嘲気分が、この場合の神尾の腹の中で頭をもたげたのですが、....
「鯉」より 著者:岡本綺堂
あなたは鯉はお嫌いですか。」と、わたしは訊いた。 「ええ。鯉という奴は、ちょいと
泥臭いのでね。」と、老人は答えた。 「川魚はみんなそうですね。」 「それでも、鮒....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
近に名代の魔者がいた。生縄のお鉄という女侠客がそれなのだ。 素より田舎の事とて
泥臭いのは勿論だが、兎に角常陸から下総、利根川を股に掛けての縄張りで、乾漢も掛価....
「蜻蛉返り」より 著者:佐藤垢石
海岸、南伊豆のような外海で漁れる鰡とは、味が異なるのである。外海に棲む鰡の方が、
泥臭い味が少ないのである。けれど、いずれにしても処置の方法によって臭いを去ること....
「氷湖の公魚」より 著者:佐藤垢石
民の口に入るものは、多く土浦の霞ヶ浦産である。白銀色に美しいところはあるけれど、
泥臭い上に渋味が強く至味というわけにはいかない。俗にチカキという青森県や北海道方....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
も結構だ。人によってはポチッと黒いあの目玉のところが泥臭くて叶わんというが、あの
泥臭い味が乙なのだ。あの味を解さんで「白魚のおどり食い」とは不粋も甚だしい。この....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
して青い池の真っ只中をアプアプ小圓太は泳いでいた。 「イ、いけない」 プーッと
泥臭い水を吐きだすと、ようやくのことで竹箒片手に池から這い上がってきた。一帳羅の....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
出した。しかし今日の大川の水は何の匂も持っていない。若し又持っているとすれば、唯
泥臭い匂だけであろう。…… 『あの橋は今度出来る駒形橋ですね?』 O君は生憎僕....
「随筆銭形平次」より 著者:野村胡堂
イと思う――とラジオで私は放送した。インテリらしい顔をしている癖に、実ははなはだ
泥臭い趣味と教養を持った人種が、なんといおうとそれは気にすることはない。捕物小説....