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泥足
「泥足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
い、何とも云われぬ気の毒さである。尊《たっと》い人間の心の奥へ知らず識《し》らず
泥足《どろあし》を踏み入れた、あやまるにもあやまれない気の毒さである。保吉はこの....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
い》好きな婆さんは、勿論《もちろん》この変化を悦ばなかった。殊に庭へ下りた犬が、
泥足のまま上《あが》って来なぞすると、一日腹を立てている事もあった。が、ほかに仕....
「街底の熔鉱炉」より 著者:佐左木俊郎
が玄関を覗《のぞ》き込んだ。 「おいッ! てめえも、他人《ひと》の家の座敷の中を
泥足で駈《か》け抜ける気なのかい?」 彼は怒鳴りながら立って行った。 「いや。....
「栗の花の咲くころ」より 著者:佐左木俊郎
「忠太郎の野郎と一緒に高清水《たかしみず》にいやがるで、忠太の恩知らず野郎め!
泥足で俺の顔を踏みつけやがって。」 「忠太郎と一緒にいるのかね? 最初からそんな....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
縁をふむ足音が力なくきこえて、和吉は縁づたいにしょんぼりと影のように出て行った。
泥足をはたいて半七は縁に上がった。 それから再び店へ行ってみると、和吉の姿はこ....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
。 一同は雪崩を打って実験室の中へ飛び込んだものですから、またたく間に室の中は
泥足で蹂躙せられてしまいました。兄は、自記式の気温計や、気圧計や、湿度計がかけて....
「観画談」より 著者:幸田露伴
いの位で、大した事ではなかった。 急いでいるからであろう、若僧は直にその手拭で
泥足をあらましに拭いて、提灯を持ったまま、ずんずんと上り込んだ。四畳半の茶の間に....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
した。 「どうして?」 「どうしてって、火鉢の中にペッペッと唾を吐いたり、ワザと
泥足で縁側を歩いたり、そういう意固地な真似ばかりするんですもの。くだらないことだ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
く、ただ悪いのは世間だよ。 どんなに二人が潔白で、心は雪のように清くッてもね、
泥足で踏みにじって、世間で汚くしてしまうんだわ。 雪といえば御覧な、冬になって....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
家の人達が集まって来たのは、その次の瞬間のことであったが、いかさま縁にも座敷にも
泥足の跡が付いているので、賊の入ったことは証拠立てられた。 そこで八方へ人が飛....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
って相当に重大と見られる反証をあげております。即ち、二人が被害者を訪問したときは
泥足のままであるから、もしも自供の如くに室内へあがって彼を殺したのが事実なら、タ....
「どろぼう猫」より 著者:海若藍平
て家の中の泥棒を退治出来るの」 「出来るとも。こうするのだ」 と言ううちに犬は
泥足の儘床の上に飛び上って、 「アレッ、助けて」 と言う猫を啣えるなり一振り二....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
りじゃろうが、白米一升、どないにしても七十銭じゃ。割じゃろがい。はっはっはっ。)
泥足を捏ねながら、肩を揺って、大きに御機嫌。 給金の談判でした。ずんずん通り抜....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
足だって、無え金ば六銭もふんだくられた。」 手紙は七之助から来ていた。――健は
泥足も洗わずに、炉辺へずッて行って、横になりながら封を切った。 朝五時に起きて....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
は柔しく制しながらも平気で舐めさしていた。時に由ると、嬉しくて堪らぬように踵から
泥足のまま座敷まで追掛けて来てジャレ付いた。ジャレ付くのが可愛いような犬ではなか....