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泥道
「泥道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥道の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
横断、三里のみちを歩きながら、思うことには、人間すべて善玉だ。豪雨の一夜、郊外の
泥道、這うようにして荻窪の郵便局へたどりついて一刻争う電報たのんだところ、いまは....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
私たちの見るに任せられた。ここから土地の案内に精しい輿水象次氏が一行に加わって、
泥道を歩き始める。川俣川にかけた橋を渡って、大門川の峡流を見下しながら、弘法水に....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
ところで近頃の世の中、ことに日本などはとてもややこしい文明であって、無理矢理に
泥道を走る乗合自動車の如く、何かの場所へまで走る必要が起こっているので、安心の出....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
した。 その翌日弟の試験日だ、私はそれを落した事を初めて知ったが、もう千日前の
泥道にさような小さいものが存在すべきはずもなかった。弟はとうとう一年間遊んでしま....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
た傷痕の ケロイドのつるつるの皮膚にひきつって 濡れた軌条がぬたくり 臓物の臭う
泥道に 焼け焦げた並木の樹幹からぶよぶよの芽が吹き 霖雨の底で 女の瞳は莨の火よ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
み止まろうとしたが、はずみで、片脚を、田の中へ滑り込ませて、身体を反らした途端、
泥道へ尻餅をついてしまったのであった。だが、すぐ、起き上って
「待てっ」
と、....
「双面獣」より 著者:牧逸馬
間約二時間と見ていい。それから直ちに「其の男」は手や着衣の血痕を流れで洗い落し、
泥道に乗り棄ててあった自動車――ダッジ二四年型――を動かす可く近くのベエコン方を....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
衛どんの倉から四俵やらかしたんだ」と話者はいうのであった。 「それがよ、雨上りの
泥道だっけが、ンでも、どこにもそれらしい跡がねえんだちけから、全く偉いものよ。」....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
だのう。」 それから小半時後だった。二人は首筋へまで跳ねを上げて、汁粉のような
泥道を竜泉寺の方へ拾っていた。すぐ後から、これだけは片時も離さない紙屑籠を担いで....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
という看板を掲げた店が、この重なる凶事に見舞われた当の現場であった。 雨上りの
泥道をひたすら急ぐ藤吉の背《あと》から、勘次と彦兵衛の二人が注進役の小僧を中に小....
「飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
る。じっと立っていれば、泥は脛までも埋めそうな深い泥の道である。 私は、満洲の
泥道を想い出しながら、短靴を靴下まで泥にして、山裾の村へ入って行った。と、子供が....
「停車場で感じたこと」より 著者:和辻哲郎
を持って来る。わずか一分ほどの間だったが、そのためイライラさせられたので、急いで
泥道を駈け出した。見ると停留場に電車がとまっている。よい具合だと思って速力を増し....